たった一つの居場所【治崎廻】 (ページ14)

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十三番ページ14

母はピクリとも動かないが父は弱々しい声で私に助けを求める

「たす、けろ…」

求めると言っても命令口調である

そんな変わらない父の態度に腹が立つ

「私は貴方を助けようなんて思いません。なので何もしません」

「それが…親にたい、する…態度か…！」

「お前達が私にやった事は一生忘れないし、許さない！
お前達なんか親だと思った事なんてない！」

遂にキレた私は今まで思っていた事を全て叫んでやった

ちらり、と父を見てみると特に何も言い返さず苦しそうに息をしていた為
私の言葉は聞こえていたのかどうかは怪しい

「死に…たく、ない」

突然喋ったかと思えばズルズルと少しずつ引きずりながらも移動し始めた

そんな父に私は留めを刺してやろうと
手を振り上げ個性を発動しようとした所で誰かに手を掴まれる

「組長さん…？」

「それだけは絶対に駄目だ。犯罪者になりてぇのか？」

廻と針が本当の親の様に慕うその人が居た

組長さんは他の人に組長と呼ばれていたので私も呼び始めたのだが

今、この場所で私に呼ばれた彼は悲しそうな顔をしている

彼のそんな表情は一度も見た事がなく、
私がそうさせているのだという事に気付いた時には申し訳なさで酷く胸が締め付けられた