たった一つの居場所【治崎廻】 (ページ13)

今日:8 hit、昨日:7 hit、合計:62,120 hit

十二番ページ13

「えっと…この家に住んでる者ですけど…」

「じゃあ殺すか」

「待て、子供は殺すな」

一体この人達は誰なんだろうか

一瞬お客さんかと思ったが二人の口からは物騒な言葉しか出て来ない

私は二人を観察してみたがやはり見知らぬ人で服等には血痕らしきものが付いていた

「彼奴が警察に通報するかもだろ！」

「それでも俺は子供だけは殺したくない」

「分かったよ…逃げるぞ」

暫く言い合いをしていたがやがて逃げる準備をしだし、私の横を通り過ぎて行く

二人が先程までいた場所には父と母が床を大量の血で染めながら倒れていた

「…待って下さい。貴方達があの人達を殺したのですか？」

「そうだと言ったらお前はどうする。俺達を恨むか？」

「そんな事はしません。ただ…あの人達を殺してくれて有難う御座います」

感謝の言葉を口にする私に驚いた顔を向けてきたがすぐさま逃げていってしまった

実の両親が殺されたと知っても、この目で実際に見ても何も感じなかった
むしろ喜んでいる自分が居た

「やっとこれで私は自由だ…！」

「…A」

歓喜の声を上げている時に掠れた声で私の名前を呼ぶ声が聞こえてくる

辺りを見回し正体を探る

するとその声の主は今にも死にそうな父であった