轜鷲甕冦 ページ31
「社っ！！」
そう叫んで中に入ると、たくさんの悲鳴とやしろを心配する声。
そんないろんな声が混ざりあって、雑音のように聞こえてきた。
追いつかない頭を整理して、ようやくわかったのは、社が死 んでしまうということ。
それだけが、嫌だった。
だから我は、自分の命を私たのだ。
「死神に宿いし我の魂。掻き消える、人間、秋味社の魂となり、社を生き返らせたまえ！」
鎌を上に上げて大声で叫ぶと周囲がまっ暗くなり、社の魂と、我の魂が虹色に光った。
怖かった。消えることではなく、忘れられる事が。
でも、社には生きて欲しいから。
だから、我は最後の願いをさけぶ。
｢さあ！われの魂と引換えに！！社を生き返らせたまえ！！｣
涙が、頬を伝。
鎌を握る手が震える。
怖い。けど、もう終わる。
とても長い我の一生は、社を生き返らせるために終わる。
社には忘れられるし、社だけではなく、皆にも忘れられる。
これが、最後。
我のいた証を残そう。
敦盛層の、栞を。
絵本と同じ様に。
さようなら、社。
我はお前を消えても忘れない。
お前という暖かい存在を。
だから、笑って生きて。
悲しかったら泣いていい。
だけど、それ以上に笑って。
我がいなくても、もう大丈夫だろう？
また、いつか。
社の魂に我の魂を付けた。
これでもう終だ。
あとは社が目を覚ます。
我のいた事は、忘れ去るだろう。
×△○
次回、最終話『またね』
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刻斗＠黒夜(プロフ) - かのんさん» コメありがとうございます！んー、そうですかね・・・？ (2014年9月5日 16時) (
レス) id: 4d4c173966 (このIDを非表示/違反報告)
かのん - 証しじゃなくて証のほうがいいと思います (2014年9月4日 19時) (レス) id: 7f8731fd33 (このIDを非表示/違反報告)
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