第六噺:400年 ページ8
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じくじくと痛む腹が、血を失って眠気に襲われる私を覚醒させる
かち、こち、と変わった音が鳴り響く部屋は
なる程、見たことがない代物ばかり。
きょろきょろと部屋を落ち着くことなく見回していると
ごとり、と目の前に湯呑みが置かれる
「えっ……と、改めまして。俺は前田慶次。」
『存じております。』
「俺は真田幸村……と申す」
『存じております。』
「……俺様は猿飛佐助。」
『存じております。』
3人は見るからに困惑して落ち着かない
隙だらけ、だ。本当に、目の前の3人は私の知るお人達ではないのだな。
目の前に置かれた湯呑みの湯気をぼう、と見ながら
もしや毒を?と疑ってしまう私の寂しきこと。
「……え、と、それでね、話をしたい。んだよな。」
『えぇ。ここがどこなのか、貴方が何故私を知っていたのか。お聞きしたく。』
「え、と、そうだな。いや、もう疑いようがないし、にわかに信じ難くても信じるしかないんだけど……」
驚かないでね。
とそう言って私を見て、困った顔をする慶次殿、によく似た御仁。
その御仁は私の前に色のついた薄い箱を見せてきた
『これは……私ですね。それに、幸村も……ああ、この赤備えは幸村です……それにこの三日月……伊達政宗公御人。』
「そう、えっと、今回はAさんがストーリーの要役だから俺発売日前日から並んだんだけど……!!」
『はつばいび?』
「……待って、前田の旦那。いや、確かにパッケージのこの女の子なんだけど……いやいやそんな」
「このご時世に腹に怪我して死にかけてるそっくりさんなんていてたまるか!」
「あはー、それもそうかぁ……」
幸村によく似た御仁と私はちんぷんかんぷんだ。
あぁでもないこうでもない、と二人が話し合い
やっとまとまったらしい。
「落ち着いて聞いてくれ、Aさん。次元を越えてきてくれてありがとう、の前に、アンタに言わなくちゃいけないことがある」
『はい。』
「……ここは、アンタのいた戦国から【400年】程経った……未来だ。とりあえずは。」
『…………なんと。』
いや、ならば納得だ。
400年も経てばカラクリも進化するだろう。
現に元親殿の百鬼富獄は飛んだ。
あの建物も、家が進化した成れの果て、だろう
あぁ、困った
場所が日ノ本でなければ、日ノ本へ帰るだけだったのに
時は流石に遡れぬ
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@無 - どうか更新を...........................() (2019年1月7日 21時) (レス) id: 9d95717760 (このIDを非表示/違反報告)
musiclove9213(プロフ) - 続き楽しみにしてます! 頑張ってください♪ (2018年6月22日 13時) (レス) id: f2e3fea196 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚鹿@死神ちゃん★ | 作成日時:2017年7月23日 21時