声を失った歌姫 ² (ページ32)

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「…え？」

『じゅ…ん、……く、ん』

「…声、出るようになったの？」

『…で、た』

「いつ」

『さっ、き』

「もう1回、俺の名前呼んで」

『じゅ、ん…く、ん』

「…もう1回、」

『じゅ…ん…く…ん』

「A」

かばっと、抱きしめられる。

私の大好きな香りに包まれる

「Aっ…」

サンタさんから私への

声というクリスマスプレゼント。

「A…っ、」

泣きながら私の名前を

何度も何度も呼ぶ潤くんを

ぎゅっと抱きしめ返す。

『…だい、す…き、』

やっと自分の言葉で伝えられたこの言葉。

「Aの…っ、Aの声だ…」

所々掠れてしまうし

まだ上手に会話ができる訳でもない

ただ、１音1音ゆっくり紡いで言って

言葉にするしか出来ないけど

「よかった…ほんとによかった…」

私はまたみんなと、歌いたいんだ＿＿