覚悟していたまえよ ページ14
太宰side
｢此処が初めてデ……一緒に来た場所だよ｣
｢……そう、なんですか｣
彼女は相変わらず淡々としている。
反応薄いなぁ、前までは此処に来る度に｢あの頃を思い出すね｣とか言ってくれたのに。
敬語を外さず、私に対して警戒心でも持っているのかと思う程だ。
まぁ無理もない。
彼女からしてみれば、いきなり知らない人が入ってきて、手を取って｢寂しかった｣だの｢またデートに｣だの言い出したのだ。吃驚するだろうし、警戒もするだろう。
まぁ構わないけど。
｢本当に何も覚えていないのかい？｣
｢だから何回も言ってるじゃないですか。本当ですよ｣
｢私の名前も？此処に来たことも？｣
｢此処に来たことはありますよ、仕事で何度か｣
何だ、仕事か。
｢でも、不思議なことがあります｣
｢何だい？｣
｢ところどころ抜けている記憶があります。抜けているというか、曖昧な｣
それは私が関連した記憶だ。
というか、Aの記憶の半分位は私が関連してそうだけど。
｢……そうかい｣
今彼女に｢それは私との記憶だ｣とか言っても無駄な事は分かっていたので、適当な返事をしておいた。
｢そろそろ戻ろうか｣
｢太宰さん｣
彼女が私の名を呼ぶ。
｢……昔みたいに｢治｣って呼んでくれないのかい｣
｢覚えてないです｣
だろうね。
｢それで？｣
｢今日はありがとうございました。私には何も思い出せないのですが｣
｢別に今日くらいは良いさ｣
きょとんと首を傾げるA。
｢いつか絶対、取り戻してみせるから。思い出させてみせるから、覚悟していたまえよ｣
他人行儀なその言葉遣いも、今に外させてみせる。
Aの頬が赤く染まる。
照れてくれたのか、可愛い。
矢っ張り私には、Aが居ないと駄目だなぁ。
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革ベルト
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風寧 - ゆうさん» ありがとうございます！最後の方の文章は結構悩みましたが、いい感じに終われてよかったです笑 (2018年2月1日 19時) (
レス) id: 5d22090800 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 完結おめでとうございます！最後の孤独な闇に染まった過去を持つ青年と、その闇さえも愛した彼女に祝福を。で泣きました(´；ω；`) (2018年2月1日 19時) (レス) id: d52eddc329 (このIDを非表示/違反報告)
風寧 - ルイヤさん» ありがとうございます！ (2018年2月1日 18時) (レス) id: 5d22090800 (このIDを非表示/違反報告)
ルイヤ - 最高でした (2018年2月1日 16時) (レス) id: 466af4a3ee (このIDを非表示/違反報告)
風寧 - かおりさん» ありがとうございます！両方！？嬉しいです！他も頑張ります！ (2018年1月24日 14時) (レス) id: 5d22090800 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：風寧 | 作成日時：2018年1月2日 23時
