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三つ嘘を吐いたエイプリルフール【江戸川乱歩】 ページ8

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「今日はエイプリルフールだそうですよ」

「ふぅん、で? 僕に嘘を吐くのかい?」

Aはぴくりと肩を動かし、深々と溜め息を吐いた。

「……まぁ乱歩さんを騙せないのは知ってますよ。それでも勝ってみたいんです!」

目を輝かせるAを見つめ、じゃあやってごらんよと挑発すると彼女は困ったように視線を泳がせた。

どうやら無計画(ノープラン)だったらしい。

「えっと……其の、乱歩さんなんか嫌いです!」

「はい、嘘(ダウト)」

「えっ!? ……えーと……」

必死に考えているらしく、眉間に皺を寄せてどんな嘘を吐こうか考えている。

「きょ、今日乱歩さんが食べたお菓子は賞味期限切れていました」

「……真実?」

「はい!」

袋を確認すると僅か一日。

「社長が出せって云ったんですよ。ほら、お菓子それしかなかったので。まあ大丈夫です」

「……あっそう」

「あ、太宰さんは今日入水してませんよ」

「はい嘘。てかバレバレ。もっとマシなのないの?」

あるわけない。彼女は嘘を吐くのが苦手だ。

「……参りました。流石乱歩さんですね」

「いや、誰でも判るよ?」

「そうですか……残念です。けれど、私諦めてませんよ! 何時か勝ちますから!」

彼女は立ち上がり、僕の手を取った。

「だから傍に居させてくださいね!」

僕ははにかみ、彼女の手を握り返した。

「当たり前だろう。僕もAの傍にいるから」





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「……とんだ嘘を吐いてくれたね」

真新しい墓にはたくさんの花が添えられている。僕も持っていた花束を手向けた。

「事故に遭うなんて莫迦かい? それでも武装探偵社の一員かい?」

彼女は僕に勝った。

彼女は三つの嘘をエイプリルフールに吐いた。

僕が嫌いだという嘘。

太宰が入水したという嘘。

そして、僕の傍にいるという嘘。

最悪だよ。君は嘘を吐くのが苦手だっただろう。

「……なんで死んだのさ」

君が死んだなんて、嘘だったらいいのに。

万能の頭はそんな思考を無視して君はもういないって本当のことを云うんだ。

止めて、止めてよ。

君だけは捨てられない【森鴎外】→←とある幽霊の苦労話【中原中也】



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眠夢_(プロフ) - まって…………なんだこの作品は……ありえない……神がかりすぎている……やばい……マジで作者様も作品も愛してます。すっごい泣けました…… (2021年6月10日 1時) (レス) id: 7e61cd56ff (このIDを非表示/違反報告)
練 紅愛(プロフ) - 泣けた…目が涙出いっぱいで目の前のスマホがまともに見れずに鼻水をすすってました←更新まってます!!リクで宮沢賢治くんお願いしまっす!! (2017年7月29日 13時) (レス) id: f1113fa5e6 (このIDを非表示/違反報告)
零夜 - あれ?可笑しいな。視界が歪んで文字が見ずらい…なんでかなぁ??更新頑張ってください! (2017年7月29日 12時) (レス) id: d97c7ef749 (このIDを非表示/違反報告)
夜野猫 - 初めまして。貴方様の作品大好きです! 特にとある幽霊の苦労話がとても切ない感じでした。リクで中也、お願いします! (2017年7月19日 7時) (レス) id: f7cd2e3a78 (このIDを非表示/違反報告)
ルキア(プロフ) - こんばんは!はじめまして!どのどのお話も切なくて泣けます(T_T)。リクエストでドストエフスキーさんと谷崎君をお願いしたいのですがよろしいでしょうか?。 (2017年7月18日 20時) (レス) id: c7e2de022e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天原依愛 | 作成日時:2017年5月22日 17時

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