君がいない、君がいない、君がいない。【文豪ストレイドッグス】【短編集】

手紙に綴る、この想い【中原中也】 ページ28

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「中原様へ

貴方がこの手紙を読んでいる時、既に私は死んでいるんでしょうね？ 典型的な台詞ですが事実でしょう？ 私は死にましたね？」

軽率に出される死んだという文字。確かにAは死んだがこんなに明るい手紙を遺すほど余裕はあったのか。と目を疑いたくなる。

「任務で失敗ですか？ それとも戦闘？ 事故……はなさそうですね。其処まで莫迦じゃないので。まぁ死因はさておき、この世に残ってしまった貴方に伝えたいことが沢山あります。
文だけでは伝えられない。かといって言葉にするのも恥ずかしいです。今更恥ずかしがるのも可笑しいですかね？」

何時ものAだ。陽気で、弱さなんて何もない。

「貴方のこと、好きでした。大好きです。この世のすべてを犠牲にしてでも守りたいです。嗚呼、私は貴方に守られたいですよ？ 女性を守ってくれるのが男性でしょう！」

「……俺、守れなかったじゃねェか」

Aは死んだ。守れなかった。俺の目の前で、撃たれて、そして＿＿＿＿。

「自分を責めないで。私の後を追って死のうとしないでくださいよ？ 私が死に損じゃないですか。
私は貴方に生きてほしいんです。笑っていてほしいんです。だから、死なないで。別に会いたくないというわけではありませんよ？」


「地獄で待っていますから。何年かかろうが、何十年経とうが待ちます。何時までも愛していますからね。」

手紙は其処で終わっていた。

やめてくれ、愛してるだなんて云うな。

余計に苦しくなるだろう。余計に悲しくなるだろう。

いっそのこと大嫌いと云ってほしかった。そっちの方が未練が残らなかった。

頼むから、愛してるなんて今更云わないでくれ。

手前なんか、大嫌いだ。

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