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おいしいひと時 ページ2

暑い夏の日曇り空、夜七時。
ベランダから見える空は夕方とはちょっと違う、むしろ夜明け前みたいな色をしている。
エアコンが程よく効いたワンルームで、ちょっと奮発した彼は雪見だいふく3パック、もっと奮発した私はハーゲンダッツを食べていた。

高いくせにすぐ終わる『ちょっと高めのアイス』はいつの間にか食べ終わってしまっていた。
ああ、おいしいひと時が。ぎゃふん
何となくつけっぱなしのテレビでは、よくある芸能界の大御所が他の人間を小道具にするような番組で盛り上がっていた。
私はそんなに好きじゃないやつ。嫌いというか興味がないやつ。
興味はないけどとりあえず見ている。

つまりは私は、何もない、なんでもない、幸せなひと時を、
恋人と過ごしていたのだ。

だからその、私の隣で最後の雪見だいふくを開封し、うち一つを串刺しにしたままテレビをじっと見つめたまま動かない恋人が、突然そんなことを言い出すものだから

驚いてしまった。突然カップルみたいなこと言うから。
まじかよっていうよりも、拍子抜けしてしまった。



「俺のどこがいいんだ」
「顔」


そんなこと考えるんだ、『S級ヒーロー』でも

拍子抜けしはしたものの、私は即答する。
すると彼はテレビを見つめたまま、ぽとりとこぼした。

「かお」

そのままテレビからも私からも顔を背けてしまった。

「え、なになにどうしたの」

黒いタンクトップ一枚のその背中をさすってみる。
触れた際にぴくっ、と動いただけで、特に反応はなかった。


まずいこと言ったかな
でも本当に顔も大好きなんだけど


背中をつん、つん、と突いてみる。
反応無し。


一瞬拗ねてるのかと思ったけど、なんか違う。
元気がない、というか生気がない。
まあゾンビマンだし、そりゃそうか

…なんで何も言わないんだろ
なんか腹立ってきたぞ



「………そいっ」


私はつぅ、とタンクトップ越しに人差し指で背中を撫で上げた。

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煮物 - 自分もゾンビマン好きなので分かります!自分も作っちゃおうかと思ってます! (2020年5月22日 11時) (レス) id: a01bcb1263 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おいくらりち | 作成日時:2020年2月10日 17時

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