三回目 ページ5
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連れられて入ったのは小さなバーだった。
「いつもの頼むよ。」
貼り付けた笑顔で彼がそういうと、男性は
慣れた手つきでグラスを用意し始めた。
いつものって、まだ未成年じゃないか。
いつものが通じるほど通ったのか。と妙にそこだけ
冷静だった。硝子に傑に悟、同期は問題児ばかりだと
つくづく思った。
「Aはお酒飲んだことないかな?
弱そうだもんね。」
戸惑いながら頷くと、頬杖をついた彼はくすっと笑った。
「お酒はね、酔うと気持ちよくなるんだよ。
気分が良くなるんだ。頭の中が全部どうでも良くなって
世界が揺れて、心地よくなる。.....ほら」
お洒落なグラスに注がれた綺麗な琥珀色。
その鮮やかさに少し魅入っていると隣で傑が
お酒を少し含んだ。
それにつられて少し口をつけると果実のような
まろやかな風味が広がった。
その香りが酷く落ち着いて、気づけばぽつりと
呟いていた。
「なんで、あんなことをしたの。」
「あんなことって?」
「とぼけないでっ」
笑う彼を睨むと一息ついて、切なく微笑んだ。
「この世界は、私にとって生きずらすぎた。」
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あめ玉 - ぅ、泣ける!いい話!終わりかたがすごく好き!完結おめでとうございます! (2022年3月28日 16時) (レス) @page22 id: 09aca0ac89 (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - げとーさんの最期の言葉に涙腺崩壊(涙)コメントせずにはいられませんでした。 (2022年3月27日 23時) (レス) @page20 id: bb3f1353bd (このIDを非表示/違反報告)
チョコミン党(プロフ) - うわぁぁぁぁーーー!!夏油さんずるい!!かっこよすぎる!! (2022年3月27日 22時) (レス) @page20 id: e690e3eff9 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - とても面白いです。 自分のペースで更新を頑張ってください。 私も呪術廻戦にハマってしまい作品を書いてますが良かったら題名を教えますか? 作者さん、体に気を付けてくださいね! (2022年3月20日 12時) (レス) id: 8e5a2f605a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴神 | 作成日時:2022年2月27日 18時