十四回目 ページ16
*
傑を止めたい。そして叶うのならもう一度
彼に会いたい。
不安定に絞り出されたそれは紛れもない
私の本心だった。
「A」
先程とはあまりにもかけ離れた
穏やかな声で名前を呼ばれ、腕を掴まれると
体を起こされた。
涙で濡れた目尻を親指で優しく拭うと、
悟は目を細めて笑った。それは今まで見た
どの笑顔よりも優しく、どこか切なかった。
「それが、君の本心でしょ。だったら今
すべき事は一つなんじゃない?」
「っ、うんっ....」
しゃくりを堪えながら頷けば「もう泣かないの」
と少し強く頭に手を置かれた。
「酷いことして悪かった。俺も、気づいていながら
お前になにもしてやれなかった。.....お前がアイツを好きだから、お前には笑っていてほしかったんだ。」
「けど、お前がそうやって涙を流すのを見てられなかった。」
初めて聞くそれは、私の事を心から考えてくれていた
行動だったと感じて胸が暖かくなる。
「ごめんなさい、ありがとう悟。」
少しだけ笑った彼は頷いた。
「何が正解かわからない。けど僕は傑と戦う。」
誰にとって、何がいいのか。
正しい答えなどないのかもしれない。だからこそ
私は私が強くいられる、心からの想いに沿っていきたい。
「私も悟達と一緒に傑と戦う。それがただ一つ、私が死んでいった人達に出来ることだと思う。」
「傑に会いに行くよ。」
*
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あめ玉 - ぅ、泣ける!いい話!終わりかたがすごく好き!完結おめでとうございます! (2022年3月28日 16時) (レス) @page22 id: 09aca0ac89 (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - げとーさんの最期の言葉に涙腺崩壊(涙)コメントせずにはいられませんでした。 (2022年3月27日 23時) (レス) @page20 id: bb3f1353bd (このIDを非表示/違反報告)
チョコミン党(プロフ) - うわぁぁぁぁーーー!!夏油さんずるい!!かっこよすぎる!! (2022年3月27日 22時) (レス) @page20 id: e690e3eff9 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - とても面白いです。 自分のペースで更新を頑張ってください。 私も呪術廻戦にハマってしまい作品を書いてますが良かったら題名を教えますか? 作者さん、体に気を付けてくださいね! (2022年3月20日 12時) (レス) id: 8e5a2f605a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴神 | 作成日時:2022年2月27日 18時