その6 ページ6
悠と出会ったのは、大学生の頃だった
当時所属していたスノボサークルの新歓で、初めて彼を見つけた
本名を田所悠と言い、その頃から変わらぬ美貌を持っていた彼の周りには、男から女、先輩から後輩まで見境なく人が集まった
悠は相手の話に相槌を打つこともせず、ただニコニコと笑っているだけだった
当時の俺はそれが気に入らなくて、近くに座っていた仲間に愚痴を溢したのを覚えている
「…ニコニコしてりゃ人生うまくいったんかね」
「仕方ねぇよ、大学生なんて所詮顔だぜ。人生で1番表面的な恋愛を楽しむ年頃なんだから」
おおよそ大学生とは思えないそいつの発言に、同意するように鼻で笑った
今思えば、彼の言葉はモテる人間への負け惜しみといえなくもなかったが、実際に当たらずとも遠からずというような側面があったと思う
「でも、あいつに話しかけたくなる気持ちはわかるな」
一拍置いて続けられた言葉に、思わず「はぁ？」と首を捻った
「なんつーか、顔が綺麗なだけじゃないんだよな。浮世離れしてるというか、落ち着いてるというか」
いい意味で俗っぽくないんだよな、そう言って、彼は手に持っていたビールを煽った
「どこが、お高く止まって、可愛いくねぇ」
なんだか無性に腹が立って、ため息混じりにそう吐き捨てると、トイレ、と一言言って席を立った
・
・
「あー…飲みすぎた」
用を足した後、そのまま席に戻る気にもなれず酔い覚ましがてら店を出た
近くの石段に腰を下ろすと、肌寒い夜風がサッと頬を撫でた
「隣、座っていい？」
上から聞こえた声に、驚いて顔を上げる
声の主はこちらの返事も待たず、さっさと隣に腰を下ろした
「田所くん、抜けてきたの？」
俺の問いかけに、彼は何も言わなかった
ただ黙って、何かを堪えるように、足下の石ころをじっと眺めていた
「あー…田所くんってさ、イケメンだよなぁ。女子なんか釣れ放題で、羨ましいっつーか」
そのときの俺の心情を包み隠さず言うなれば、「めんどくせぇ」と一言それに尽きた
誰が好き好んで仲良くもない人間と2人きりになりたいと思うか
「女の子は……あんまり好きじゃない」
絞り出されたその言葉に、思わず隣を見やる
俯いていたために表情はわからなかったが、自らの体を抱きしめる腕は小刻みに震えていた
酔っ払って、口が滑ったのかもしれない
俺はどうしていいかわからず彷徨う手を、項垂れる頭に恐る恐る置いた
ただぐずぐずとすすり泣く声が、店の前に響いていた
続く
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パパゴラス - コメント失礼します！めっちゃ好きなタイプですほんまにおもろいです。これからも頑張ってください！マジファンになっちゃぃましたぁぁ！！！ (2020年5月17日 0時) (
レス) id: 665c1b4e56 (このIDを非表示/違反報告)
sumiko(プロフ) - 早く、悠さんの生のご意見を聞きたいです。(≧◇≦) (2020年5月16日 19時) (レス) id: bbba9ad9a6 (このIDを非表示/違反報告)
七海 - なんだか、めっちゃ好きなんですけど…ww頑張ってください！ (2020年5月16日 14時) (レス) id: cc0b3d41a2 (このIDを非表示/違反報告)
ひーと - 好き(唐突)頑張ってください!応援してます！ (2020年5月12日 12時) (レス) id: c8f6957e50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なんじゃらほいほい | 作成日時：2020年5月11日 18時
