27 ページ27
「名古屋から越してきました。藤巻翔です、よろしくお願いします」
そいつは体に似合わない小さな声でボソボソとあいさつを終えると、自分に集まる視線に居心地悪そうに俯いた
「じゃあ、藤巻くんの席は1番後ろだから。なんか困ったことがあったら言ってね、周りの人に聞いてもいいけど」
先生がそう言うと、藤巻は頷いて1番後方の窓際の席までさっさと歩いていき腰を下ろした
「やばっ…
ちょーイケメンきた……」
「うん……想像以上だね……」
女子達のざわめきに、慣れているのか藤巻は気にした風もない。確かに、スラッとした長身に中性的で涼しげな目元が印象的な美男子である
振り返ってまじまじとその顔面を見つめている俺の椅子を、後ろの吉田がガスっと蹴った
「じゃあHRこれで終わるから、藤巻くんと仲良くなるなら今だぞ〜」
先生はそう言って、入って5分もしないうちに出ていってしまった
「やだかっこいい……」
「好き……」
女子達は藤巻を遠目に眺めては、時折ハァと切なそうにため息を吐きながら、その美しい顔立ちに見惚れている
「ねえねえ、翔くんって部活なに入るか決めたー？」
そんな中、クラスでもリーダー的存在である1人の女子生徒が藤巻の席に近づいていきそう話題を持ちかけた
「ああ……いや……」
藤巻は何か言いづらそうに口籠ると、「まだ……」と小さな声で呟いた
すると、眺めているだけだった残りの女子が後に続けと言わんばかりに彼の机の周りに集まってきた
「前の学校ではなにやってたの？」
「背ぇ高いねぇ！何センチ？？」
「あ、一応バスケを…」
「182です、細いから高く見えるだけで……」
止まらない女子のマシンガントークに、藤巻はたじたじであるが一生懸命に応えようとしている
どうやら藤巻翔という人間は、顔に似合わず気弱なやつらしい
「なんか、あんま悪いやつじゃなさそうじゃん」
吉田の言葉に、「まあ、そうかもな」と頷く
「前はバスケ部って言ってたよな？誘ってみようぜ」
「あー……いや、でも」
すぐにでも吉田の意見に賛同すべきなのだろうが、先程の藤巻の態度を思い出し言葉に詰まる。なんとなく、彼自身がその話題を避けているような気がしたからだ
「んだよぉ、もしかして次期エースの座を取られるのが怖いのかな？」
「ちげーわバーカ、てかもうエースだし」
「あ、それ鈴野さんにキレられるやつ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 976人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
山桜桃(プロフ) - 完結おめです！読み終わりましたーこれから他のBL作品巡回してきます┌(┌＾o＾)┐ﾎﾓｫ、、、() (2020年4月28日 6時) (
レス) id: addc97a0c8 (このIDを非表示/違反報告)
山桜桃(プロフ) - ご、、ごめんなさい！下の人がコメントしたので通知が来て「暇だから読んでみっか」と思って読み始めたら、、エグいです、、、可愛すぎて無理、、、「萌えます」の一言で終わらしちゃダメなやつ！！！！あっ私、下のカラ松ガールです。本当に読む手が止まりません！ (2020年4月28日 5時) (レス) id: addc97a0c8 (このIDを非表示/違反報告)
クロ - 萌えますねぇ。ちょっと逝って来ます、どこに？それ聞きます？？ (2020年4月28日 2時) (レス) id: cfb86d3e94 (このIDを非表示/違反報告)
なんじゃらほいほい(プロフ) - カラ松ガールさん» まじですか……嬉しい (2019年12月1日 4時) (レス) id: 8999d0f4f9 (このIDを非表示/違反報告)
カラ松ガール(プロフ) - 萌えます (2019年11月28日 0時) (レス) id: addc97a0c8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なんじゃらほいほい | 作成日時：2018年4月5日 11時
