other side ～扉の向こう～ (ページ31)

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君に触れられるとどんな痛みも忘れられるんだページ31

みんな遅くまで起きていたけど気が付いたら真司を筆頭にミチとトンジの3人がリビングで雑魚寝している。

陽介は家に帰ると言って麻由を連れて足早にマンションを出て行った。

メゾネットタイプのこのマンションには2階もあってそこには寝室があり1階にはゲストルームが2つ。

美羽と麻也をゲストルームに案内してからそそくさと自宅の様にお風呂まで入って先にベッドへと向かった篤人の居る2階の寝室へと向かうと寝室についているシャワーを浴びて私もベッドへと身体を滑らせた。

スヤスヤ寝息をたてて眠る篤人の髪の毛を触り頭にそっとキスを落とす。

「ん～A？」
『ごめん、起こした？』
「早く来てくれないから待ちくたびれた」

そう言うと篤人の胸の中へ引き込まれる。

篤人胸に顔を寄せ心地良いリズムが私の頬に伝わる。

「A？」
『ん？』
「顔見せて」

篤人の胸から離れ篤人に視線を合わせると優しいキスを送ってくれる。

「ホントは誰にもAを見せたくないんだけどな」
『篤人…？』
「ずっと俺の側に居てくれる？」
『うん。篤人の側にずーっと居るよ？』
「俺、鹿島行く。着いて来てくれる？」
『もちろん。篤人の行く所には着いて行く』

そう言うとまた唇が重なる。

「ヤバい俺。今日スゲー焼餅かも！」
『だから漢字違う(笑)』
「明日何しようか？」
『練習無いの？』
「試合勝ったから連休」
『じゃあずーっと一緒に居れるね』
「うん」
『篤人？』
「ん？」
『愛してる。』
「俺も…愛してる。」

またどちらともなくキスをする。
触れるだけのキスからだんだん深く。

溜息交じりの甘い声が寝室に響く。

お互いの温もりを身体全身で感じながら2人はリズムを刻む。

汗ばむ身体を薄暗い光の影で追う度に全身から意識が遠退いていく。

篤人の温もりを奥で感じ取ると同時に意識が飛んだ。

私の胸に倒れ込んだ篤人の頭にそっとキスをする。

篤人は動けずそのまま目が覚めるまで眠ってしまった。

愛しい気分に浸りあたしも目を閉じる。

篤人が隣に居る幸せを噛み締めながら今日起こった事さえいつの間にか消えていた。

目が覚めても隣に居る篤人が愛おしくて寝顔にキスをする。

いつまでも篤人が隣に居る事だけを私は祈っているんだ。

この先もずっと…

その裏で祐樹とさゆきが切なさ交じりの感情を身体でぶつけ合っているとも知らずに…

再び瞼を閉じて眠りについた。