Reviving memory ページ4
「もう大丈夫だから。」
そう言って頭を撫でて来る美羽の優しい声でホッとした私は陽介の胸の中で思い切り泣いた。
地面に散らばった服を二人が着せてくれると佐々木に脱がされた感覚がまだ体に残る私は震えだしてしまう。
「A大丈夫だからね?」
「美羽?俺、本田さん達に話してくるから保健室連れてったって?」
「分かった。A行こう?」
陽介はサッカー部のみんなに事情を説明する為に戻り私は美羽に抱えられて保健室へと行った。
「先生?A体調悪いみたいでベッド使っていい?」
「あら!山本さん珍しいわね。中野さん付いててくれる?先生これから会議出なきゃいけないのよ。」
「そのつもりですから。」
「よろしくね?余り調子良くならない様なら帰って休ませた方がいいわよ?」
「はい。」
私は美羽に促されベッドへ横になる。
「A大丈夫?」
「ずっと震えてる。今日はこのまま家連れて帰っていいかな?」
「えーやろ!本田さんむっちゃキレて佐々木シバキに行く言うとったで?」
「そりゃキレて当然だから。」
「A?」
「大丈夫?」
『二人ともごめんね?ありがと』
美羽と陽介はずっと私の手を握ってくれていた。
陽介と美羽。
私にはなくてはならない大切な存在。
陽介は小3の頃親の都合で神戸からお向いに引越して来た生粋の関西人で人懐こいけど人見知りな陽介と同じ年だしすぐ仲良くなった。
以来、陽介の家族ぐるみでの付き合いとなり旅行やらなんやら陽介と一緒によく行っている。
美羽と私は以心伝心。
美羽は私で、私は美羽。
私は幼稚園時代をドイツのケルンで過ごし小学校入学と共に帰国してその学校で一番最初に友達になったのが美羽だった。
それ以来何をするにも一緒でお互いに何かあると体が反応してしまう位の大親友。
陽介が引越して来てから3人で過ごすことが当たり前な日々を送り、今では3人で一緒に居る事が当たり前になっている。
この佐々木事件以来、美羽も陽介も私をどんな事があっても絶対1人にはさせないとこの時心に誓った。
1ヶ月後、その先輩は転校した。
「Aに何かあったら助けてくれる人はたくさんいるからね?マコちゃんも圭佑君も永嗣君も佑都君みんな味方だから。佐々木の事はマコちゃんと圭佑君が色々やってくれたみたいだから安心しなよ。」
当時、長谷部さんと付き合っていた美羽からその言葉を聞いた時佐々木を転校に追いやったのが本田さんだと知ったのは私達が彼らと同じ高校に入学してから。
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作成日時:2013年4月27日 21時