手に入れたのは体で心はまだ… ページ27
目が覚めると祐樹の胸の中にいる。
昨夜起こった出来事にまだ気持ちはついていけてない。
月の明かりに映し出された祐樹の高揚した表情の中にどこか切なさ交じりの感情が脳に焼き付いている。
いつかこうなるといいなと望んでいた事だけど、いざなってみると虚しさでいっぱいだ。
「付き合おうか、俺たち」
そう言って一瞬辛い表情をする祐樹にお姉の顔が頭に浮かぶ。
「あたしがお姉を忘れさせるから」
今はそう祐樹に言う事しか出来ない。
祐樹は私にお姉を重ねて私を抱いている事が手に取る様に分かっていた。
「あたし、祐樹の為ならどうなっても平気だから」
精一杯の強がりだって祐樹も分かっている。
祐樹自身も自分の感情と闘っている。
でも私達はそこには無い確かな心の繋がりよりも身体で繋がる事でしか出来ずに
狂った様にお互いを求め合った。
疲れ果て眠っていると誰かが1階から上がって来る音が聞こえてくる。
「ゆ〜き〜!まだ寝てんのかよ〜早く起き…」
祐樹の部屋の扉が開くと裸の私達と宏樹の視線がぶつかる。
「…さゆき?」
「宏樹…」
「お前ら…」
私は布団の中に隠れる。
「…ん〜(_ _).。o○ お、宏樹」
私が布団に隠れた衝動で祐樹が目を覚まし、ドアに突っ立ってる宏樹に話かける。
「…宏樹じゃねーから(-。-;」
「宏樹じゃん?」
「つか、服着ろ」
「あ、お、おぅ…」
祐樹は起き上がり服を着る。
「お前、まさか…」
「俺たち付き合う事にしたから…」
「誰に手出したか分かってんの?」
「分かってるし!」
「ならもう言わないから。さゆき服着れないだろうから、下行くぞ。」
「あ、うん…」
あたしは布団から顔を出すと宏樹に話かける。
「宏樹ごめん…」
「俺に謝っても…自分が望んだならいんじゃん?」
「うん…」
「体目当てでこうなったなら祐樹をぶん殴るけど、ちゃんと付き合う事にしたんだろ?ならもう言わないから。早く服着ろ。俺たち下行くから。」
「うん…」
宏樹の言葉の重みは今の私には痛い。
だって…祐樹はお姉が好きなんだから。
宏樹はまだ寝ぼけている祐樹を連れて1階へ連れて行った。
私は布団から出て祐樹に弄ばれた重い身体に服を着せた。
階段を降りると聞こえてくる祐樹と宏樹の会話。
祐樹が今何を思っているのかは知りたくなかった。
きっと後悔しているのが分かるから…
私は逃げ出す様に"帰るね"と言うと祐樹がある言葉を吐いて私を再び震えさせた。
目が覚めた時襲った後悔→←彼女に重ねた君への想いを断ち切る事なんて出来ない
37人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時:2013年4月27日 21時