見上げたら輝く君がそこに立っていて ページ11
「あ、いや、その…」
俺は答えに困っていると
「あいつがそんな軽い女やったら好きにならへんやろ、ウッチー。」
陽介君の顔が悲しげで、まるで自分の事を言っている様に聞こえた。
「陽介君は内田君にA姉取られて悔しくないの？」
「悔しい？何で？」
「だって陽介君とA姉は依存級の…」
陽介君は笑いながら答えた。
「それとこれは別やろ？Aの事は誰よりも大事やで？けど、俺とAはそれ以前でも以上でも無い。祐樹は子供やからまだこんな愛し方もあるって分からんかもやけど。」
陽介君の気持ちが理解出来ずに苦しむ。
「陽介君はA姉が手に入らなくてもそれでいいって事？」
「いいって言うか付き合う＝側に居るとは限らんって事。Aの気持ちがウッチーにあるのに押し付けてもしゃーないし。側に居るだけでええと思ってる。」
「俺は男としてA姉と一緒に居たいと思うけどな…」
陽介君は笑いながら「そりゃ無理な話しやで！」と言って頭をポンと叩き練習へ戻る。
内田君と笑いながらじゃれ合う陽介君の顔を見ながら、陽介君にとってA姉は「彼女」という存在よりも「家族」という存在なのかな？とも思った。
でも、陽介君のA姉に対する気持ちは俺と一緒なのかも知れないと思ってしまう。
それは昔から陽介君を知っているからで、A姉に対する依存は異常だったから。
陽介君はきっと自分にそう言い聞かせてるんだろうとこの時思った。
「なーに物思いにふけてるんですかー(笑)」
「うるせっ」
キヨがふざけながら近寄って来たので、ケツに蹴りを入れる。
「痛てぇな！つか、お前すげえな」
「何が？」
「見ろよ？あれ」
キヨが指を指す方には、俺の横断幕とたくさんの女子が集まってワーキャー言って手を降っている。
「入学早々凄い人気ですね、大津君っ(笑)」
「嫌味か！(笑)」
「あ、あれって…山本A？この学校に要るんだっけ？」
「え？」
キヨが見つめる先には、俺の大好きな人の姿が映っていた。
「A姉…」
「お前知り合い？」
「さゆきの姉ちゃんだよ」
「え！？もしか祐樹の好きな人って山本Aだったって事！？」
「悪りぃかよ」
「悪りぃってか…」
A姉の顔を見つめると彼女の視線を捕らえているのは内田君の姿。
ー Aは渡さないよ ー
内田君の真剣な目とその言葉が俺の頭を占領して、胸が苦しくなる。
内田君に愛されているA姉は幸せに違いないのに…
君の声が僕の胸を熱くしたり冷たくしたりするんだ→←僕が投げたのは後悔と堕落の爆弾だ
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作成日時：2013年4月27日 21時
