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なんやかんやで練習を終えて帰宅の準備をする。
あれから終始、栄純からの視線は変わらずで。
「なあ」
『御幸先輩？』
「沢村となんかあった？」
『栄純ですか？特になにも』
御幸先輩に呼び止められた。
やっぱりというべきか、なんとなく察しているっぽい。
でもここはあくまでも知らないフリ。
「ふーん」
『これ以上用がなければ帰りたいんですが』
「わりぃわりぃ、そんな警戒すんなって」
『あんまり栄純のこといじめすぎないようにしてくださいね』
「わかってるって」
『じゃあ、私はこれで失礼しますね』
「近くまで送ってく」
『え』
「嫌なのかよ」
御幸先輩は正直よく掴めない人だ。
だからちょっと苦手。
見た目は、確かにイケメンな部類なんだろうけど。
クラスメイトにも御幸先輩の連絡先教えろだの、なんだの鬱陶しく感じたり。
これを機会にいっそのこと聞いてみるのもアリ？
『…じゃあお願いします』
「じゃあってのが一言余分だな…」
『文句言うなら1人で帰ります』
「あ〜！待ってって！置いてくなよ〜！」
本当は栄純に送ってもらいたかったのに…肝心な時に現れないんだから。
『…あの』
「ん？」
『連絡先教えてもらってもいいですか？』
「え、なに、俺の事、気になるの？」
『いえ、全く』
「ちょ、即答かよ」
『クラスメイトが御幸先輩に気があるみたいで連絡先知りたいってうるさくて』
「なんだよ、それ無視すりゃあいいじゃん」
『一回断っても、忘れた頃にまた聞いてくるんですよ』
校内の掲示板に張り出したいくらいだ、と言えば、流石に個人情報だからやめろよ、と御幸先輩に止められた。
「うーん…だったら」
『？』
ガサゴソとカバンからペンとノートの切れ端を取り出して何かしら書き始めた。見たところ、メールアドレスのように見えるが…。
「これ、もしもの時にってダミーのアドレス」
『ダミー？』
「これでも俺、有名人だからさ、校内校外関係なく、色々聞かれるわけよ。だから礼ちゃんが準備してくれてたアドレス。これ教えておけよ」
『なるほど』
「人気者は大変ですからね〜」
『言う事がいちいちムカつきますね』
「でも事実だからな」
ほらよ、と御幸先輩からメモを、もらう。
これでなんとかしつこいクラスメイトを回避できそうだ。
『ありがとうございます』
「じゃあ使用料だけど〜」
『え！？』
「冗談、冗談！」
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作者名：ぐみ | 作成日時：2024年2月28日 0時
