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御幸に気持ちを伝えた。
『御幸が好き』
「…!!」
やっぱり驚いて、困った顔をしている。
そりゃそうか、ただのクラスメートだった女子が告白してきたんだもの。
やっぱり伝えない方がよかったのかな。そんな顔させるつもりじゃなかったのに。
『ごめん御幸困らせて、試合とかキャプテンとしての仕事とか色々あるのに、更に困らせるようなことして
でも私は大丈夫だから、明日からはまた、いつも通りただのクラスメートとして改めてよろしく!』
じゃあまた明日と一方的に話を進めて自宅へと私は向かおうとした時
「んな顔で、帰らせられねーよ」
腕を引っ張られて、鍛えられた身体に抱き寄せられていた。
『…み、ゆき…?』
「なんでお前は、勝手に話進めてくんだよ。俺の気持ちは関係ねぇってのか」
『……!!』
イライラしている御幸は更に、私を強く抱きしめた。
そして耳元には御幸の心臓の音。
ドクンドクンドクンドクン…音が速い。
「らしくねぇことしてるなって思ってんだろ
でもこれが答えだよ」
好きでもないヤツに抱きしめたりなんか、こんなにドキドキすることなんてねぇーよ、バカ、なんてなかなか素直じゃない、御幸らしい言葉。
『じゃあ期待してもいいの?』
「当たり前だろ」
『……!!!』
「苗字が好きだ」
これはまた、夢?現実?
もうどうだっていいや。
あの御幸と今、恋人同士になれたんだ。
***
「っていつになったら泣き止むんだよ」
『だっ、だって嬉しくて…』
「でもさっき呼び止める前も泣きそうな顔だったじゃんか」
『あれは振られたかと思ってたから』
「全く世話のやけるやつだな」
そう言って御幸は、意地悪な、でもそこには優しさを含めた笑顔で私を見ていてくれた。
やっぱり優しいな御幸は。
なんだかんだ、私が泣き止むまで付き合ってくれた。
部活は?と心配だったけれど、好きな女ほっとけれるほど冷徹じゃねーと、嬉しい言葉を聞けた。
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作者名:ぐみ | 作成日時:2020年4月3日 6時