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『 わっ私!?』
「まじか、じゃあ苗字の好きなやつ誰なんだよ」
どうやらとんだ勘違いだったようだ。
早とちりして申し訳ない…って私に好きな人がいるって御幸にバレてしまったではないか。
といっても聞かれて、目の前にいる貴方のことです、なんて言われるはずない。
『そんなの言えるわけないでしょ』
「でも倉持知ってんだよな?」
「あ?まあな…」
「ってことは倉持じゃねぇってことか…誰だ?俺の知ってるやつ?」
『御幸でも教えられないから、倉持は、まあ、たまたまバレちゃった感じだし』
なんとか誤魔化せないかと、色々言い訳をする。
気になったら、なかなか頑固なんだよね、御幸って。
『そっそういう御幸は、気になってる人とかいないの?』
「え、聞いてたの俺なんですけど?まさか質問を質問で返されるとは…」
「ヒャハハ!逆に追い詰められてやんの」
『そういう倉持のタイプも聞いてませんけど?』
「おい、今は俺じゃなくて御幸だろうが」
標的が御幸になっとたん、倉持は余裕を見せ始めたので、ここぞとばかりに標的を戻してみたり。
あんた1人だけ逃げようだなんて、ずるいわよ。こっちは好きな人相手にビクビク怯えてるんだから。
***
ーーー−ーキンコンカンコン
「ちっ、時間切れかよ」
「ヒャハハ!ナイスタイミング!」
『結局2人のタイプ聞けずじまいか…仕方ない、またの機会にするよ』
口論している間に予鈴が鳴った。
予鈴が鳴ったことに感謝だったり残念だったり…。
せっかく御幸のタイプ聞くチャンスだったけど。とりあえずバレずにすんだことはラッキーだ。
「で、実際どうなんだよ、倉持」
「なにが?」
「苗字のこと、気になってんじゃねえの?」
「は?何言ってんだクソメガネ」
「素直になれよー」
「お互い様だろうが」
「なにそれ、どういう意味?」
「それくらい自分で考えろっての」
「………」
個々の席へ着くとき、2人がそんな会話をしているなんて私は、知るもせず
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作者名:ぐみ | 作成日時:2020年4月3日 6時