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※御幸side
最初はノートを借りるばかりだったけど、休憩時間は限られるし、どうしたものかと、悩んだ末、放課後に残って勉強するようになった。
まあ、部活もあるし、それも限られた時間でもあるのだけど。
でも教室には2人きり。
最初は2人きりでも、平気だった。
なんとも思ってなかったし。
アイツも、俺のことを好いてワザと仕向けたり？してる様子もなかったし。
1年の頃は俺目当てで、普段はそんなことしなさそうな女子が印象アップのためか、言い寄られてきたし。
気持ちは有り難かったけど、正直相手にするの面倒で、いつからか、全員に断るようにした。
みんな平等じゃなきゃ、変な争いになるだけだ。
「お前、嫌がらせとかされてねーの？」
『へ？』
「いや、俺って正直モテるじゃん？」
『自分で言っちゃうんだ』
「まあな！…で、女子って案外怖いだろ？１つのことに対して色々争ったりしてさ…よくドラマとか漫画でみかけるし」
『んー、特にないかな』
「ま、もしなんかあった時は言えよ。俺がなんとかしてやるから」
『お。カッコいいじゃん、ありがとう。私の彼氏でもないのになんだか申し訳ない』
「いいってことよ」
"彼氏でもない"
その言葉になんだか違和感。
苗字の言った通りだ。
俺は苗字の彼氏でもなんでもなくて。
俺が原因で他の女子に嫌がらせを受けるかもしれないってのに。
なに言ってんだ俺。でも彼氏になったのなら、守ってあげることは出来るのか？
なんて色々考えた。それがきっかけでふと、クラスメイトの女子から、異性として見るようになったのかもしれない。
それに確信をついたのはまた別の日。
トイレをすませて、教室に戻ると、アイツの倉持が仲よさそうに話していた。
「あ？んなもん、本人に聞けよ」
『聞けないから倉持に聞いてるんじゃん！』
「別に俺じゃなくても」
苗字は、俺達に対して慣れてきたのもあって、いつのまにか呼び捨てに変わっていた。その方が距離感がなくていいんだけど。
にしてもアイツと倉持、近すぎでは？
倉持は、なんだかデレデレした様子で話してるし。やっぱり男たるもの、女子と話すのは嬉しいもんかね。
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作者名：ぐみ | 作成日時：2020年4月3日 6時
