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ん?
唇に柔らかいものが触れた…
「…っ…じゃあな!!!」
と、御幸は走って行ってしまった。
私は突然のことでなにがなんだか。
何が起こった?
唇に柔らかいものが…御幸の顔はよく見えなかったけど、耳がすごく真っ赤だった。
つまりは…さっき…キスをされたのだ。
『〜っ!!!』
御幸からの初めてのキス。嬉しすぎて、足に力が入らなくて、そのまま、ぺたりと倒れこむしかなかった。
***
家へ帰ってお風呂を済ませると、御幸からメッセージが届いていた。内容をみると今日のことについてだった。
御幸本当はあんなことするつもりなかった。けど、なんか我慢出来なかった。ごめん。嫌だったらすぐに言えよ。おやすみ。
『…律儀だなー、そんなところが好きで惚れたんだよね私』
***
※以下御幸side
苗字 嫌じゃないよ。むしろ嬉しかった。御幸の精一杯の気持ちがよく伝わってきたし。ありがとう。これからもよろしくお願いします。
おやすみなさい。
あのままじゃダメだと思い、アイツにメッセージを送れば返事がきた。
なんだか慣れない内容でむず痒い。
百面相しながら、どうやって返事しようかと思えば、
「でもおやすみってきてるしなーっ…いって!!!」
「なに画面越しに、ニヤニヤしたり眉間シワ寄せたり気持ち悪いんだよお前」
「倉持かよ、なんだよ、理由知ってるくせに」
「なんのことだか?そんな御幸君に朗報です」
「は?」
「ここに映画のチケットが2枚あります、今度の日曜はオフですが、いりますか?」
ニヤニヤしながら聞いてくる。
相変わらずムカつくな。そりゃ今度のオフは、デートに誘おうと思っていたけど、行き先に困っていた。もちろん頂きたいところだが。
「お前のことだから何か企んでるだろ?」
「は?んなわけねーだろ、今回に限って俺、個人としてのお祝いってやつだ、有り難く受け取りな!礼は、長続きしてくれたらで」
「…きもちわる…お前、本当に倉持か?」
「な、失礼な!そんなこと言ってんと、俺が苗字と映画見に行っちまうからな」
「わりぃ!それだけはやめてくれ!ごめんて!」
今になってアイツを倉持に取られたらたまるもんか。
「素直でよろしい、じゃ、気をつけて行ってこいよ」
「………おう」
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作者名:ぐみ | 作成日時:2020年4月3日 6時