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『御幸さん…』
「んだよ」
付き合ってからも、前と変わりなく、教室に居残って勉強を教えているけれど。
ドキドキしているのは私だけなのでしょうか。
御幸は今まで通り、話してくれるけど、態度に変化がなくて。
あのときの告白は夢で終わってしまったのかと疑ってしまったり。
もちろん付き合っていることは周りには内緒。
教えてるのは倉持だけ。
倉持には口止めしてあるけど、バレるのは時間の問題とか言われてしまった。
そんなに雰囲気でバレるようなもんなのかな。
『なんでもないです』
「なんか思ってることあるんだろ?」
言えないよ、付き合ったんだから、手を触れたいだとか抱きつきたいとか。
そういう恋人らしいことしたいとか。
恥ずかしい。
野球の強豪校だもん、なかなかデートができないのはわかってる。
一緒に居られるだけで、付き合っているだけで充分だとわかってるけど。
『大丈夫』
嘘です。
大丈夫じゃ、ありません。
「嘘だろ」
『え?』
「お前わかりやすすぎ、顔に書いてある」
『まじか』
「俺だってエスパーじゃねぇんだから、考えてることわかんねぇからな」
『ごめん』
まさか逆に気を使わせているなんて。
何やってんだ私。
平気なフリなら気づかれないなんて思ったけど。
相手は御幸だったこと忘れてた。
「で?原因は俺だと思うんだけど、どこがご不満でごさいましょうか、姫?」
『なっ!姫って、そんな柄じゃない!』
「でも苗字、結構人気だと思うけどな、男女共に受けはいいって聞くし…それに倉持だって」
『倉持?」
まずい、口が滑ったみたいな顔をされた。
どうやら倉持が私に好意を持っていたことは、知っていたみたい。
だから、この前倉持と話しに行くことを伝えたとき、ちょっと反応が変だったんだ。
「てっきりお前は倉持のことが好きなんだと思ってたんだよ、やけに親しい感じだし」
『だって倉持だよ?ノリは良いし』
「それはわかる」
『でも好きなのは御幸、そりゃ好きな人の前だったら緊張はするでしょうが……………………はっ!!!』
って何言ってるんだ私。
「ふーん?緊張ね?」
この言葉を聞き逃すわけがなかった。
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作者名:ぐみ | 作成日時:2020年4月3日 6時