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※倉持side
苗字が御幸と付き合い始めて、俺なりに距離を置くようにした。
なるべく御幸と2人きりになれるように。
俺なりに気づかないように自然にしてきたつもりだったが、バレちまったか…。
『御幸に聞いても、何にもわからないし…ちょっと我慢できなくなって今日呼び出したの』
「そ、うか」
『もしかして、私達が付き合ったから、遠慮してたりしてる?』
ーーーーーードキッ
ヤバイ。
不意打ちだろ、こんなの。
少し目を潤ませて、上目遣い?っていうのか?で俺を見つめてくる。
やめろよ、せっかく諦めたのに。この気持ちを無くしたのに。また…。
『やめてよ、寂しいじゃんか、そんなの…せっかく仲良くなれたのに、そりゃ御幸のこと好きだけどさ、それとはまた別じゃん』
ほら、そんなこと言って…
***
俺が、苗字のことをよく知るようになったきっかけは、やはり御幸で。
ふと、御幸がやけに授業中に上手いこと寝てるわりに、テストの点数が良かったりすることに違和感を抱いた。
「御幸」
「んだよ」
「お前、ズルしてねーだろうな?」
「なんの話だよ、怖い。俺なんかした?」
「惚けんなよ、授業中サボってるくせに成績良すぎるだろ」
問いただした日は、ちょうどテストが返ってきたばかりの日で。
御幸は、なにかを隠すかのよいに誤魔化しているのがわかる。
「まあ、助っ人がいるんだよね〜」
「助っ人?」
なんだそれ、聞いてねーぞ。
そんなやついたらとっくに俺だってソイツを頼りに何かしているはずだ。
「あ」
「ん?どうした倉持」
「お前、最近部活くるの若干遅いときあるよな?それと関係あるだろ」
「!?」
「ビンゴだな、白状しろ」
「わかった、わかったから!!顔怖いって!」
ずっと隠していても、いつもの関節技を決めて、無理矢理聞き出そうとした手間が省けた。
御幸本人も、そうやられると思っていたらしく、痛い思いをしたくはないため、口を開いた。
「同じクラスに…苗字っているじゃん?」
「ああ、確か席近いっけ」
「アイツから、放課後教えてもらってんだよ」
苗字の存在は知っていた。
他の女子と比べて、わりと落ちついたイメージを持っていた。
話したことなんて挨拶程度だったし、接点なんてなかった。
それは御幸も同じのはずで。
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作者名:ぐみ | 作成日時:2020年4月3日 6時