1.出逢い ページ3
敦「まったくもう…太宰さんどこ行ったんだろう…」
中島敦。人虎と呼ばれる彼は、自 殺マニアの太宰治を探していた。彼も太宰の居場所を把握している訳では無いので、手当り次第キョロキョロしているのだ。
キョロキョロキョロキョロキョロちゃん
?「ねぇ、少年。」
突如、耳の傍で中性的な声がした。とても中性的な…それでいてとても落ち着くような声。
敦はバッと後ろを振り向いた。
敵だといけないから、それが彼の1番の答えだ。
だが、後ろにいたのは見たことも無い青年だった。
白髪の腰まで伸びた美しい髪に、色素の薄い青色の瞳。透き通りそうな儚い肌。薄桃色の薄い唇。風になびく白いコート。
“美しい”
それが、今一番敦が知っているなかで相応しい言葉だった。
どこか神秘的で、見ているだけで幸せになりそうな_そんな感じだ。
敦は思わず何も発することなく、ただ感嘆の声をもらした。
?「ね、聞いてる?」
敦「あ、はい!えっと…」
くすりと微笑む青年に、敦はまた見惚れるように彼を見る。それは誰もを魅了する、天使の笑みそのものだった。
?「君、太宰治を探しているのだろう?」
敦「…はい」
どうしてそれを知っているのか。そんな疑問は喉元まで出掛けたが、青年の瞳が返事すること以外望んでいなかった。
それだけで、敦は口を噤んだ。
どこか逆らうことを恐れるように。
?「そうだねぇ…、太宰治は今…君のすぐそばにいるようだね。
じゃあ、僕はこれで。」
ふんわりと微笑む青年を前に、敦は掠れた声で疑問を口にする。
敦「…お、名前…は?」
青年は目を二三度ぱちくりと瞬かせた後、直ぐにまたくすくすと笑い出す。
?「良いよ、気に入った。
A。」
敦「あ…」
気づ付いたときには、青年は居なくなっていた。空からはヒラヒラと宙を舞う白い羽根。
思わず、それを手でとった。
“君に幸あれ”
__青年の声がした___
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猫。 - 物語の書き方がとても好きです!読みやすいですし、次のお話が楽しみでわくわくしました✨次もとっっっっっっっても楽しみにしてます!!更新頑張ってください! (7月30日 19時) (レス) @page4 id: f02eee6231 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:せんら | 作成日時:2020年8月29日 22時