嫌い３ ページ5
グレートセブンの石像の前で座り込み、ラグーンはぼー…と空を見上げた。
今日は学園がお休みだからか、人は伺えない。
_｢あれ、ラグーンさんじゃないですか！｣
どこか楽しそうな声でそういって近づいてくる人物に、ラグーンは内心顔を顰める。
だが、直ぐに笑顔を顔に貼り付けその場から立ち上がった。
｢…どうしたの？監督生さん｣
茶色の肩ほどの髪をなびかせ、大きな茶色の瞳を輝かせこっちに近づいてくる彼女。
ラグーンはその服装に目を丸めた。
｢その服…｣
監督生｢あ、先程までハーツラビュル寮のなんでもない日のパーティーに呼ばれていたので！｣
｢へぇ｣
随分楽しそうだね。
俺の大切なものを壊したくせに。
その言葉を、ラグーンは喉元で飲み込んだ。
監督生｢…これから、モストロラウンジでバイトの手伝いをするんです！｣
｢…え｣
バイト…アズール、許可だしたんだ…。
監督生｢これから一緒に行きませんか？｣
ラグーンは目を見開いた。
お前、気づいててそれ言ってんの？なんて言葉は言えなかった。
ラグーンは、バイトの許可は出されてなかったのだ。
その理由は過保護なあの3人が、料理とか怪我してしまう、接客とか変なやつに絡まれてしまうという理由だったが、ラグーンはそこまで仲良くないからと解釈していた。
でも、監督生さんには許可を出した。
それを聞いて胸が痛くなった。
呼吸もしづらくなって
なんだか目がクラクラする。
｢ごめん、俺……今日図書室に用事があるからｯ…｣
震える手を握りこぶしで誤魔化して、その場を後にする。
今はとにかく、胸が痛かった。
目から水滴が出てきて、今日は…寮に戻りたくないと思った。
いや、ずっと戻らないでいたい。
分かってしまうのだ。
今日は監督生さんがあの寮に泊まることぐらい。
これからずっとバイトに来ることぐらい
なんとなく、ずっと一緒にいたから
あの3人の考えは
分かっていたのだ。
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作者名：せんら | 作成日時：2020年9月12日 9時
