【刀剣乱舞】僕らの主はとにかくおかしい。

19.まるで桜餅。 ページ21

NoSide





とある本丸の前に、一人の男が立ちはだかる。



その男は静かに門の呼び出し鈴を押した。








はい。という殺気のこもった声と同時に、男は口を開いた。









？「……………主様は居ますか？」









ーーーーーーーーーー




長「主いぃいいいいぃ！！！」




『うわぁどうしたんだい？』






間抜けな声を漏らしながら、主は書類を片付けていく。





隣の加州は主の腕にしがみつくように書類を整理していた。






長「おい加州。お前そんなに主にくっつくな。







羨まし……じゃない邪魔になるだろう。」








サラリと本音を漏らす長谷部に、主は手を止めずに笑みを深める。









『長谷部は正直だね。良いことだよ。









ほら長谷部も来る？』




主は長谷部を手招きする。





長「ぁ、あああ主！！それは……！！」






長谷部が感激で肩を震わすなか、主は加州の隣を指差した。







『ほら、加州の腕。





二人とも仲が良いんだね。』








ニコニコと笑う主に、二人は悲鳴をあげた。









加「主！！！最悪！！



俺の腕は主を抱えるためにあるの！！






こんな主名とアラバァの暇を潰すための腕じゃないの！！」





長「そうですよ主！！！









何故好き好んでこいつの腕にしがみつかなきゃいけないんですか！！









俺は主の腕が良いんです！！」









ギャーギャーと騒ぐ二人をよそ目に、主は何かを考え込むように顎に手をあてた。









『………んー……じゃあーー







えいっ。』









えいっという声と同時に、長谷部は主の方に引き寄せられる。









気づいたら、長谷部は主の隣に座っていた。









長「………主……」









『うん。これなら、長谷部も満足かなーと思って。









ダメ？』









ニコニコと笑う主に、長谷部はパアァと効果音の付きそうなほど顔を綻ばす。









それはもう桜の大洪水。









主はその光景を目にし、桜餅……と呟いていたそうな。









燭「主！」









パタパタと廊下を歩いてくる燭台切に、主はうん？と言い振り向く。









燭「今玄関に人が来てるんだけど。」









燭台切の言葉に、主はすっと笑みが消える。









そして、いつものなん十倍も低い声で言った。









『帰して良いよ。』

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