第一話 待っていたんだ。 ページ3
一歩足を踏み入れた瞬間、小さい刀が飛んでくる。
『………おやおや。』
頬から飛び散る鮮血に、前の小柄な少年を少し見た。
「ﾁｯ
外しちまったか………。」
「な〜にやってるの、薬研。」
前に居たのは、傷だらけの少年と少女。
『………………薬研…？
あぁ、お婆ちゃんの言っていた少年か。』
飛んできた刀を拾い、少年に渡す。
「……！何で返すんだよ。」
『…はい？別に要りませんし……。
貴方にお返しします。』
「……薬研、この人。
先代の主さんの着物に似てない？」
「！！……確かに、何故それを」
可愛い女の子が、此方を見ながら話していたが殺気をもっと強くした。
『………何ですか、貴方たち。
私早く中に入りたいのですが____』
私を無理矢理押し倒そうとするが、その二人を引きずりながら進む。
「あの爺にいわれたから、止めてるの！
お願いだから止まって____！」
「………止まらねぇなら、無理矢理にでも殺すぞ？」
『…………はい？殺す？
駄目でしょう、そんな汚い言葉使っちゃ。
ほら、飴玉あげるから退きなさい。』
「………この飴____。」
「あぁ、乱。間違いないな。」
急に二人が私の前から退いた。
それどころか、私の裾をつかんで遠慮がちに聞いてくる。
『……何ですか、急に。』
「…あんた、“美琴”って名の奴を知っているか？」
『……美琴…？』
美琴は確か、私のお婆ちゃんの真名ですね………。
『私の、祖母の名ですね。』
「………じゃあ、あんたは！
大将の、孫_____？」
『……………はい、勿論。』
私の言葉に、乱と呼ばれた女の子は嬉しそうに泣いた。
隣の薬研と呼ばれた少年は、殺気を飛ばすのを止めて此方を見た。
「待っていたぜ、大将。」
今まで見たことのない笑顔で、此方を見て嬉しそうに笑っている。
「主さん、先代の主さんの手紙に書いてあったんだ。
主さんのこと______。」
『あ、あの、私まだ見習いですよ？』
「あぁ、でも俺っちたちにとったら、
あんたは大将だ。」
「だから、此処を______。
この本丸の皆を、助けて。」
私は、祖母の愛した本丸の現状が、
此処まで酷いなんて、思ってなかった。
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裕斗(プロフ) - コメント有り難うございます！多分指摘されなかったらあのまんまでした。有り難うございます。バンバン指摘してもらっていいですよ！更新楽しみにしてください！頑張ります。 (2019年5月12日 8時) (
レス) id: aecdb871b7 (このIDを非表示/違反報告)
おこめ - 初コメ失礼します。先の展開が読めなくて面白いです！ただ、和泉守の漢字が泉和守になっていたので、そこだけ指摘させてください。これからも更新楽しみにしています。頑張って下さい！ (2019年5月12日 6時) (レス) id: a8d10a6215 (このIDを非表示/違反報告)
裕斗(プロフ) - 大学いもさん» あ…有り難うございます！！そんないい言葉をいってもらうのは初めてです。更新頑張ります。 (2019年5月5日 10時) (レス) id: aecdb871b7 (このIDを非表示/違反報告)
大学いも - いい話ですね！続きが気になります。ゆっくりでいいので更新頑張って下さい。 (2019年5月5日 9時) (レス) id: c672c5d881 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：祐斗 | 作成日時：2019年4月26日 18時
