第五十話 幸せ。 ページ10
薬研Side
「大将、持ってきたぜ。」
早足で廊下を抜けて、鶴丸の旦那の様子を確認してから来た。
息を整えつつ座ると、大将はぼーっと膳の上のものを眺めていた。
「…気になるか?」
『え、あ!いや………。
初めて見るものばかりだなぁと。』
照れくさそうにいう大将に、俺っちは瞬きを繰り返す。
「………初めて?
大将は家でこういうのを食べてこなかったのか?」
『実は、家のシェフがフランス料理ばかりで。
和食を、あまり食べたことがなく。』
ふらんす…………?
なんかよく分からんが、凄い大将の家が金持ちなのが分かった。
『……では、いたたぎましょう?』
「あぁ。「『いただきます。』」
ちなみに今日の献立は、
・ほっけの塩焼き
・ご飯
・蕪と胡瓜の漬物
・大根と豆腐の味噌汁
だ。
読者の皆様にも分かりやすい説明。
あとで一兄に誉めてもらおう。
前を向き、ほっけの身を丁寧にとりパクリと食べる主を見た。
……………すげぇ美味しそうに食べてる。
なんか、じわじわと頬が緩んでいく。
いつもは静かで無表情だが、今は目を細めながら美味しそうにご飯を頬張っている。
可愛いらしく、愛おしいと感じてしまう俺っちは幸せもんだなと思った。
「……………大将。」
『?………何ですか?』
「…………………いや、ありがとう。」
『………え?何がです?』
「………いーや、何でもない。」
この幸せが、少しでも長く続けば良いなと思った。
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酢蓮 - 面白いですね。これからも頑張ってください!! (2019年11月16日 16時) (レス) id: 1628010482 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:祐斗&せんら x他1人 | 作成日時:2019年7月7日 17時