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いつもと違う、幻想的な赤みを帯びた冬の夕日。しかもさっきまで夜だったはず。
うちの町にある商店街のは違って、
商店街と言うよりお祭りといったほうが正しいようにも見える。
酒を飲んでいる子供を怒らない大人。
身体が大きいの次元ではないほどの大きさの大男。
ふわふわと浮遊するパペットを引き連れた小さな少女。
全てが異端。
そんな光景に固まっていると、俺の肩に手が置かれる。
「にぃちゃん、酒飲まねんか?」
振り向くと一見、ただの酔っ払いに見える男の額にはもう一つの目が付いている。その男は俺に酒を押し付けてくる。
未成年で酒に慣れていない俺はそこら中に漂う酒の匂いに吐き気がしていた。これは居酒屋の次元を超えるだろう。
酔っ払い勝手に肩を回して絡んできた。
「__あっれぇ?」
安心しきっている俺を嘲笑っていたかのように、悲劇は訪れた。
さっきまで2つの目しか開いてなかった酔っ払いは、額の分まで開けて俺を凝視する。
「あっ……に、人間だ!」
未確認生物を発見したように商店街全体に聞こえる大声で叫んでいる酔っ払い。
巨人も子供の姿をした大人も、商店街にいる全ての人が「捕まえろ」と叫んでいるのがわかる。
でも。どうやら俺に触りたくないようで、先ほどの酔っ払いは俺に触れた部分の腕を切り落とそうとしている。
あの九尾の狐は普通に触ってたが……何が違うんだ。
「捕らえた」と息切れした吐息混じりの声の聞こえたと思ったら、俺の周りの床に半径1メートルほどの円形が描かれている。
俺は円型に入ってる状態だ。小学生の頃よくやったな、シールドとかバリアとか言って遊んでたわ。
しかもチョークの粉のようなもので描かれているせいで、懐かしく感じる。
「この祭りに人間が出たと聞いたが此処か。」
野次馬の奥から重低音の圧のある声が響く。ガヤがうるさい中で一人だけ声の響き方が違う。明らかにそこら辺にいるやつらとは違うことがわかる。
野次馬たちが誰かに道を開けるように後ずさっていく。
野次馬が開けた道から出てきたのは。
額に鬼のような角を生やして金棒を持った男と
後頭部に天狗の仮面をつけた男。
そして、
その真ん中にいるのが先ほど会った九尾の狐だ。
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普通な人。(プロフ) - ぽぽぽぽんたさん» ありがとうございます。そう言ってくださると嬉しいです、更新頑張ります…! (2019年1月19日 13時) (レス) id: c912dcd55c (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽぽんた - 更新楽しみにしてま〜す! (2019年1月19日 12時) (レス) id: 9cb326bc68 (このIDを非表示/違反報告)
普通な人。(プロフ) - ふとんさん» ありがとうございます。更新頑張ります! (2019年1月17日 20時) (レス) id: c912dcd55c (このIDを非表示/違反報告)
ふとん(プロフ) - 現実であったら怖いなぁ、、、。更新楽しみにしてます! (2019年1月17日 19時) (レス) id: d0319190f9 (このIDを非表示/違反報告)
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