30,倒れる【side目黒】 ページ31
そのまま、ガクッと意識を失うように崩れたAさん。
「A！！」
「Aちゃん！？」
「バッ、お前スカート！！」
照くんが、自分のジャケットを荒々しく脱いで、Aさんのスカートの裾にかけた。
ぐたっと、してるAさん。
俺はまた、昨日の翔太くんの時のように、なにも出来ないんだな。
無力な自分に、情けなくなる。
「阿部、とりあえずここ出るぞ」
ヒョイッと軽々Aさんを照くんが持ち上げる。
「ちょっと、ひかるくん！？」
「依子わるい、それどころじゃねーんだわ。
・・・阿部、Aの家わかるか？」
「俺、知ってますよ」
「目黒くん、だよね？」
阿部さんと目があって、「っす」と挨拶する。
「お前、Aのなんなの？」
「ただの可愛いコーハイっす」
今度こそ、力になりたかった。
とりあえず、近所の公園でAさんの意識が戻るのを待った。
「ん・・・」
「Aちゃん！？」
「A！」
「Aさん！」
「え、私・・・？」
「お前、阿部にキスされて意識を失ったんだよ。
怖かったんだろ、≪アレ≫、思い出しちゃったんだろ」
アレ？なに？
阿部さんは申し訳なさそうにしてる。
「Aちゃんごめんね！」
「だ、大丈夫・・・」
「じゃ、俺行くわ。
目黒、だっけ？お前なら運べんだろ、Aのこと。
俺はもう、昔の人間だから、Aの家を知る義理はねぇ」
「・・・」
照くんが、そっぽを向いた。
でも、Aさんが寂しそうにしてたのを、見ちゃった。
「私はもう大丈夫。
阿部ちゃん、目黒くん、ご迷惑かけました。
ひーく、岩本くんも」
ひーくんと言おうとして、岩本くんと言い直したAさん。
声が、寂しそうだった。
「とりあえず、俺がAさんを家まで送ります。
と、聞きたいことがそれぞれあるんですけど。
阿部さんとAさんは付き合ってるんすか？
岩本くんは、Aさんの前カレっすよね？」
「・・・」
「付き合ってるよ、今さっきから」
Aさんの腰に手を回す。
Aさんの顔が強張る。
すると、岩本くんはその手を簡単に払った。
「やめとけ、Aの気持ちを優先的にしてやれ、彼氏だったら尚更」
「でも、キスした仲だから！」
「無理矢理、だろ？
それは、ノーカンな。
だろ？A」
「う、うん」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 226人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：るる | 作成日時：2020年5月13日 6時
