25,手を引く【side深澤】 ページ26
俺だって、Aを助けたかったよ。
でも、Aの手を引けたのは、俺じゃなくて照だった。
悔しかった。
無力な自分にどれだけ嘆いたことか。
思い出すだけで、腹が立つ。
そして、翔太が言い出した、ストーカーの話。
俺はまた、そういうAの苦しい時に気が付けないのか。
今度は照じゃなくて翔太にAを取られるのかな・・・。
なんて考えてたら虚しくなったから、一気にドリンクを飲んだ。
「ふっかさん、どうしたんすか？」
「いやぁー、なんもない」
目黒になにか察せられたっぽいけど、もう、いいやって。
「でもふっか、よく手を出さないよなぁ。
俺無理、出しちゃうと思う」
「Aがちゃんと俺の事好きになってくれて初めて出す」
「意外と純情なんすね」
「お前、初対面なのにけっこう言うんだな」
「っす」
目黒がペコっと頭を下げた。
誉めてねぇよ。
「まぁ、俺も気が付けなかったから、悪いな。
Aは嘘ついてるわけでも、強がってる訳でもなくて・・・」
「聞かれてないから、答えてないってタイプっすか？」
「そーそー」
昔は、違ったのにな、なんて。
「Aさんって、男に困ってないタイプっすか？」
「困ってないっていうより、元々そこまで必要性を感じてないんじゃないか？」
「あー、そっちっすか・・・」
あーぁ、目黒、頭抱えちゃった。
そのあと、まぁまぁ盛り上がって。
翔太とはけっこう会ってて、懐かしい話をしたりしてたから、目黒も交えてわちゃわちゃ話をした。
目黒は以外と大人だったけど、先輩後輩のラインをしっかり持っている奴で、好印象だった。
最終的に、Aの話だけではなく、仕事、プライベートなどマルチに話をしてた。
解散したのは11時半だったかな。
明日は休みだから、有りがたかったけど。
久々に会えて楽しかったな。
結局、Aは誰が好きなんだ？？
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作者名：るる | 作成日時：2020年5月13日 6時
