獄卒少女、3話を知る ページ5
獄都、特務室室長部屋。肋角さんの仕事部屋である｡
高級そうな背もたれ付きの柔らかそうな椅子に深くすわり、机に腕を組みながらこちらをみつめてくる二つの赤い瞳。血色の悪い顔。彼が羽織る長外套の制服は一定以上の権限を持つものにのみ支給される。がっしりとした体格で、座っていてもその身長の高さが伺える。
一見厳ついこの御方こそ、私の尊敬する上司である。
「今度は学校の近くにある裏路地などに扉を開くすること。いいな」
「…了解です。」
長い説教が終わり、部屋から出ていこうとしたその時、
「抜かるなよ」
と、言葉がかけられた。
「…承知しております、父さん」
………！！！！？？？？
羞恥で顔に血が集まるのを実感する。
…昔の癖だ。拾ってくださった以降、私達を子供のように可愛がってくださったことで、私達はついつい肋角さんのことを父さんと読んでしまったことが数回あった。その度に肋角さんはなんだ？と目線を合わせて撫でてくださったのだ。懐かしい。ともあれ大きくなってからそう呼ぶことはかくなったのだが。何故今このたび立つ時に…。一丁前に旅立つ前に寂しくなることを本人にぶつけたというのか。馬鹿馬鹿しい。失態以外の何物でもない。
閑話休題。そんな事を言ってる場合ではない。時間がすぎてしまう。
動揺した間抜け面を晒さぬように帽子を深くかぶり、一礼をする。いまは任務が優先だ。弁明は後にしよう。
重たい扉を両手で開け、小走りで退室した。
――――――
「…‘父さん’か」
「珍しいね。顔、ニヤけてますよ」
煙管を更かした肋角の背後にどこからか現れた1人の男もまた長外套を着ている。瞳は灰色に輝き優しげな印象を抱かせるその顔は、作り物のように整っている。身長は高いが、線が細いからかそこまで威圧感はない。彼の名前は災藤。閻魔庁特務室副室長を務める男である。
｢居たなら、一言声をかけてやればよかったものを｣
「今来たんだ。それで、一体何があったんだい？随分と嬉しそうじゃあないか。白が小走りしていたことと関係があるのかな」
「なに、ただ久しぶりに娘から父さんと呼ばれただけだ」
｢君…子離れしたんじゃなかったのか…｣
くつくつと笑う声を聞いて、災藤は呆れを含んだように
「そのつもりだったんだがな。子離れなんかできんさ。何時までも俺にとっては可愛い子供だ」
｢全く…任務ではくれぐれも甘やかさないでくれよ｣
ここにいる2人の心境はどこまでも優しく、まるで本物の親のように白の旅立ちを祝福していた。
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雪待月(プロフ) - nyankoaisufai^^さん» そうですねぇ。手榴弾は投げますが、ナイフは投げないので( ´▽｀) (2016年7月25日 10時) (
レス) id: daa4a5e450 (このIDを非表示/違反報告)
nyankoaisufai^^ - あれ？十六夜って東●？ んな分け無いか(´▽`)ahaha (2016年7月24日 13時) (レス) id: 2e9a962cec (このIDを非表示/違反報告)
死音心音(プロフ) - でもやっぱり「白」だと、話の中の白いって単語に引っかかって、例えば22話の「青白い」って単語に「青(主人公)い」ってなっちゃうんですよねぇ… (2016年4月26日 19時) (レス) id: e79a6803fb (このIDを非表示/違反報告)
雪待月(プロフ) - 死音心音さん» 一応時代背景(？)とかを考えて漢字にしたのですが…白ではおかしいでしょうか…？名前だけカタカナというのも違和感がありますし… (2016年4月26日 18時) (レス) id: daa4a5e450 (このIDを非表示/違反報告)
死音心音(プロフ) - 雪待月さん» そうですね・・・そっちの方が名前っぽくていいですね！ (2016年4月26日 18時) (レス) id: e79a6803fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪待月 | 作成日時：2016年3月16日 14時
