［センラ］S u g a r . (ページ7)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:21,140 hit

# Sugar 7 ページ7

side. Senra

.

彼女の隣に男がいた時、明らかに心臓が低く跳ねた心地がした。
現実を突きつけられたというか、なんやろ。
…彼女にも彼女の人生があるみたいな。
特徴的すぎるそいつの瞳と目が合った時、どこか敗北感を感じていた。

あの男は、俺よりも彼女の甘い香りを知ってるんじゃないか。取られるんじゃないかって。
あの華奢な腕を掴んでいるのを見た時、その感覚が電撃のように一瞬にして俺の体を貫いた。

「…他のやつなんか見んでええよ」

そう。見ないでいい。
ちらりと視線を移すとはてなを浮かべる彼女の顔。
ずっと俺だけ見てたらいい。
そしたら彼女の匂いは俺だけのモノになる。

…でも。
俺は何のためにこんなにも彼女のそばにおるんやろ。
もちろん奥さんの方が好きやし。愛してるけど。
けど、なぜか彼女からは離れられへん。
魔性の女なんか。こんな可愛い純粋そうな顔して中身は悪魔なんか。こうやって男を誘き寄せて好き放題弄ぶのが趣味なんか。

……わからへんけど。

「先輩」

あぁ、やっぱりその声に弱い。
甘すぎて理性が吹っ飛びそうになる。
今すぐにでも抱きしめたい。ぐちゃぐちゃにしてその甘さに溺れたい。
隣にいるだけじゃ感じれないその香りを。

…ただ、それだけでいい。