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# Sugar 20 ページ20
顔が近づいてくる。
その先の未来なんて容易に想像できた。
…キス、される。
そう感じて後ずさりしても簡単に捕まえられて。
後頭部に回された手の力で顔の距離が数センチにまで縮まる。
変わらない赤の瞳に射抜かれる。
やっぱり優は何も変わってないや。
あの頃の優しくて、ちょっと強引な大好きな優だ。
「…A」
低く呼ばれた声に心臓が低く跳ねる。
頭では拒否していても、体が反応しない。
少しの抵抗でギュッと目を瞑る。
せめて、せめて
その瞬間を見たくなかったから。
「…………ぷっ」
「…へ?」
「何その顔、可愛いなぁ」
ぷに、と頬をつつかれる。
思考が追いつかず固まっていたら、優の手がゆっくりと離れていく。
「やっぱやめとく」
「……ありがとう」
「今日は、な」
そんな言葉を付け加えながらコンビニ袋を拾った優は、ぽんぽんと頭を撫でて一足先に屋上を出ていった。
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