［あほの坂田。］仔犬拾いました。~another story~ (ページ5)

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12月5日の午前2時

……生憎、現在私は会社にいます
きっとこのまま会社泊。
つまり坂田くんに会えない

はぁ、と盛大にため息を吐いて机に突っ伏す

「お疲れ様、Aちゃん」

…久しぶりに聞いた、でも聞き慣れた声
バッと顔を上げる

「…飯田さん！」

「お久しぶり。………ちょっといい？」

「は、はい」

部署を出ていく先輩を慌てて追いかける
喫煙所の中には誰もいない。
慣れないタバコの臭いにクラっとするけど、我慢我慢。

飯田さんはタバコを1本取り出して吸い始める

「………ごめんね」

「え？」

「私、なんであんな頑固だったんだろ」

今考えたら恐ろしい、と先輩は苦笑いした

「私のこと嫌いになったでしょ」

……図星すぎる。
大嫌いではない。
けど正直
あの時閉じ込めていただけで、私はこの人の事を最低な女だと思ってしまった

坂田くんにつきまとって、束縛して

「…はい」

「正直でよろしい」

「すみません…」

「謝らないで。悪いのは完璧に私」

タバコを押し潰す
飯田さんは私の前で深々と頭を下げた

…私、先輩に頭下げさせてる。

「あの、顔上げてくださ…」

「ごめんなさい…ごめんなさい」

「せんぱ、」

「私ね、近々ここ辞めるの」

飯田さんは悲しそうに笑う
その笑顔は、どこかしら吹っ切れたように見えた