［あほの坂田。］仔犬拾いました。~another story~ (ページ36)

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# 36 ページ36

気まずそうな顔で坂田くんがリビングに入ってくる
でももうあの時の冷たい彼じゃない
その瞳は、いつもの太陽みたいな赤色だ。

坂田くんはえっと、と呟く

「…ごめんなさい」

視線は床に落ちている
長いまつ毛が私の視界に入ってきて

「……私こそ、ごめんなさい」

「いや、俺が悪いねん」

「違うよ、私が……」

そこで唐突に坂田くんがぷっ、と吹き出す

「………うん」

何かに納得が言ったように、独り言で頷く
床に落ちたままの視線がゆっくりと上がってきて
私の瞳をまっすぐ射抜く

それは、優しい夕日のような微笑みで

「でも…俺、やっぱり許されへん」

許されないのはわかってる。
けどその理由はもう気づいてる

「だから、極力避けてほしいなって俺からのお願い」

「うん。…気をつける。約束」

「約束」

差し出された小指を重ねて
指切りなんてして
2人でふふ、と笑う

「A、ギューしていい?」

「いいよ」

坂田くんは嬉しそうに私を包み込んでくる
ずっと背中をさすって

「これから喧嘩した時はさ、まず謝ろ」

「…うん」

「悪い方がちゃんとごめんなさいしないと」

まるで自分自身に言い聞かせるように坂田くんは耳元で呟く

「で、怒っても冷静になること」

「……うん」

「ずっとAと一緒にいたい」

「私も」

数秒間見つめあった後
優しく、唇を重ねる
____夕陽が窓から優しく差し込んでくる。