［あほの坂田。］仔犬拾いました。~another story~ (ページ31)

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# 31 ページ31

side. Sakata

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暗い道を歩く
さっきからずっと、頭の中にAの泣き顔が貼り付いて消えない。
………やりすぎたのは分かってる。

「重すぎなんかな…」

自問したところでなんだって話だ
Aは確かにただ会社の先輩と飲みに行っただけ

けどちゃうやん。

…あんな、彼女が他の男に抱きつかれてるところ見て正気でおれるわけないやん。

ぐちゃぐちゃと思考が入り乱れる

___Aは悪くない。

でも異性と飲みに行くのは油断しすぎやろ

ただの会社の先輩やん

いや、なんかされてからやったら遅いのに___

「あーもう！！」

ひとり路上で叫んで
スマホを取り出して
連絡先を開いて

あ行の先頭の方にある名前を押す

「……何、こんな夜中に」

相手は意外とすぐに出た。
まあ声は不機嫌そうだけど

「ごめん、泊まらせて」

「はぁ？…まあいいけど」

「ありがとう、今から行く」

電話を切る
ピュウ、と乾いた風が吹いて身震いをする

…寒。

マフラーも手袋も、ましてや上着も着てない
そんな俺を嘲笑うかのように、通り過ぎていく風

「………はぁ」

行き場のないため息は、寒空に消えていく。