［あほの坂田。］仔犬拾いました。~another story~ (ページ15)

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# 15 ページ15

24日の夜。
街の中の一番大きなクリスマスツリーの下、小走りで向かうと寒そうに顔をマフラーに埋める坂田くんの姿

周りにいる沢山のカップル達の中でも、坂田くんは一際輝いて見えて。
…彼氏だからかな？
その背中にゆっくりと近づいて…

「わっ！」

「……うわっ！びびった、Aかぁ」

振り返ってから君はすぐそう言って笑う
白い息が漏れては空に吸い込まれる

周りには
楽しそうな家族
幸せそうなカップル
寄り添う夫婦
待ち合わせしてる高校生

どこからともなく聞こえてくるクリスマスの曲と、赤、白、緑のイルミネーション達。

「誘ってよかった」

「家で直接言ってくれたらよかったのに」

「直接はさ、なんか…恥ずかしい、から」

照れくさそうに笑う坂田くん
家から2人で出かけるんじゃなくて、今日は彼の都合でクリスマスツリーの下で待ち合わせ。

あのメッセージが送られてきた時、会社で1人で声上げそうになったのは鮮明に覚えてる。

周りから見た私達はきっと、幸せそうなカップルに見えてるんだろうな。
そう思うと恥ずかしいような、嬉しいような。

「よっしゃ、行こ」

「う、うん」

その言葉と共に自然に繋がれる手
その手はおっきくて、あったかい。