番外編3 ページ50
そして冒頭に戻る。
海に行くことに結構皆がノリノリだったのは想定外だった。よっぽど暇だったんだろう。
俺はそんなに乗り気じゃなかったが、Aが真っ先に俺の腕を掴んだので断りきれなかった。
いざビーチに来てみれば、既に遊んでいる警察の方々がいたときは驚き散らかした。
ハセシンさんとか屋台みたいなの建ててるし。
一応水着に着替えて出てきたあと、パラソルをさして座り込む。
水が近くにあるからか、思っていたより暑くはなかった。思っていたよりは。
救急隊の3人も、警察の方々に混ざってビーチバレーをやったり、ハセシンさんが焼いたとうもろこしを食べたり、泳ぐ速さを競ったりしている。
よく見てみれば、競泳のところに手漕ぎボートの上で実況しているぐちつぼがいた。何してるんだ。
様々な声が混じり合って聞こえる。
しかしその内容は全て楽しそうなものばかり。
院内でエアコンにあたっているよりは、ずっと有意義で楽しいかもしれない。
ふと隣に影が差す。
斜め後ろを振り返ると、アロハシャツに麦わら帽、いつものサングラス、ビーサン。というコンボを決めたAが立っていた。
目線だけを俺によこして笑う。
「楽しいか?らっだぁ」
「んまぁね」
満更でもない感じの返事になってしまった。
実際結構楽しいので間違いではないが。
俺の返事を聞いてAは嬉しそう笑うと、パラソルの影の中へ入るようにしゃがんだ。
「警察もアイスで買収してきたんだぜ」
「それはヤバいわ。何してんのA」
予想外のことに驚くながらも思わず笑った。
そうか。考えてみれば警察もAが海に誘ったことになるのか。
アイスが入った袋片手に警察署へ凸るAを想像して、耐えきれずにもう一回笑った。
「警察も救急隊も仕事ないって聞いてな。無いならいっそ休暇にしちまえば最高なのにってな」
Aの「最高」は共感することが少ないが、今回ばかりは最高だったかもしれない。
向こうから聞こえる楽しそうな声にそう思った。
「ありがとね、A」
「いや、俺も海に来たかっただけだ。1人だと寂しいだろ?」
まぁでも、礼を言われるのは嫌いじゃない。
とAは満足気に笑って立ち上がると、俺の腕を掴んで引っ張り上げた。
思わずAに支えられる形で立ち上がってしまう。
あぁ、俺の日陰。
「あっちでビーチフラッグするらしいから行こうぜ」
「はいはい」
まぁ、Aが楽しんでいるのなら、少しくらい付き合ってやるか。
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わらび(プロフ) - じゃーん、えっちふんさん» コメントありがとうございます!コメ主さんの言葉選びがとても素敵でこちらが感動してしまいました。自分の目指す雰囲気とキャラクター像が伝わっていて非常に嬉しく思います。少しずつの更新にはなりますが、楽しみにしていただけたら幸いです。 (8月7日 1時) (レス) @page34 id: ac8a81db8b (このIDを非表示/違反報告)
じゃーん、えっちふん(プロフ) - 薄暗い憂いを帯びてる雰囲気と男主くんのあっけらかんとした感じがちょうどいいバランスで沼で最高です😭自分のペースで更新頑張ってください!! (8月7日 0時) (レス) @page34 id: 1b7c50ba33 (このIDを非表示/違反報告)
わらび(プロフ) - 管理人さん» コメント本当に嬉しいです!ありがとうございます。一回の更新が少なく満足感が無いかもしれませんが、ぜひ今後も毎日の楽しみにしていただけたら幸いです。 (8月6日 12時) (レス) id: ac8a81db8b (このIDを非表示/違反報告)
管理人(プロフ) - コメ失礼しますm(_ _)m貴方様のrd医院長が本当に好きです!毎回更新されるのが楽しみで仕方ないです!これからも更新楽しみにしてます!頑張ってください!! (8月6日 3時) (レス) id: af5b844ff4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しまなか | 作成日時:2023年7月28日 20時