【VCRGTA】俺とお前と、【rd】

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風に髪がなびく。
前髪は後ろへ全て流れていった。
今日は風が強いという予報だったため鬼の面を外してきたが、正解だったかもしれない。

午前09:40、ロスサントス市内をバイクで爆走しているのには理由があった。
今朝方、警察無線から聞こえた言葉は「今日10:00パシフィックで銀行強盗」。
警察の助力の為、バイクで現場へ向かっているということだ。

どこのギャングが犯行に及ぶのかはわかっていないようだが、それは戦えば分かる話か。
念の為とろさんも同行するようだ。
あちらは直前まで治療に出たいためヘリで現場まで向かうそうなので、止める場所や不慮の事故を防ぐためバイクをチョイスした。

もはや見慣れた裏手の駐車場にバイクを停め、路地裏へと急ぐ。
暫く歩くと見つかる鉄梯子を気合で登りきり、パシフィックの屋上に足をつけた。
あの日以来の屋上だ。またあんな事が起こることは無いと信じたい。

屋上には釈迦さんと叶さんが既に待機しているが、とろさんはまだ到着していないらしい。
10:00までもう時間がないが、直前まで治療に出ていて遅れているのかもしれない。

「あ、らっだぁさんおはようございます」
「おはようございます」

「あ、おはようございます〜」

警察2人に話しかけられて意識を戻す。
釈迦さんと叶さんは警察用の端末を片手に、なにやらパシフィック内の間取りと突撃の作戦を確認しているらしい。
そんな二人の声をBGMに医療バッグを物陰に置く。
これから大量に使うであろうアイスパックや包帯などを次々に出していく。

とろさんはまだ来ない。

釈迦さんと叶さんがもうそろそろなんで行ってきますね！と屋内への階段を降りていった。
現在時刻09:58。
刻一刻と犯行時間へ迫っている。

流石にとろさんに何かがあったのではないかと心配になってきた。
ポケットから端末を取り出すと、とろろの番号を探す。
番号を見つけたとほぼ同時に、少し遠くからヘリの音が聞こえてきた。
ただの遅刻だったらしい。

ヘリはそのまま隣の建物の屋内へ停まる気らしく、ババババという爆音と風が顔面に浴びせられる。

とろさんってこんな運転するっけ。

そう思ったと同時にヘリから人が飛び降りてきた。
その人物は何故か綺麗に着地すると、俺の右腕を掴んで笑う。

「らっだぁさんも〜らいっ！」

「え、おま、だる…ッ」

真っ赤なスーツの男は、そのまま腕を引っ張り俺の腹へ膝蹴りを入れた。
こんなに弱かったなんて自分でも驚きだが、俺はそこで意識を手放した。

番外編1→←@

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