【VCRGTA】俺とお前と、【rd】

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「A最近見ないね」

ベンチに横になって端末をいじりながらひなーのが呟く。
ひなーのとAが知り合いなのに驚いたが、どうやら俺がいないときにも病院前に来ていたらしい。

初対面の人とも別け隔てなく会話できるひなーのとAは息があったのだろう。
現にAの話題をあげているのだから。

病院前を走り回っていたエビオがその発言に、確かに〜！と同意した。
お前いつの間にいたの。というかお前も知り合いか。

「Aも仕事とか忙しいのかもね〜」

「え、A無職だと思ってたんだけど」

ごめんA！とひなーのが爆笑する。
いや、無職だと思うけどな。
平日の昼間っからどこにでも湧いて出てきて、パシフィックの金庫の中で寝る奴は定職についてないだろう。
しかもバイトやったこと無いって言ってたし。

まぁ、Aのことだし死んだりはしてないと思うけどね〜。
ね〜。

Aの話題はそこで途切れた。

沈黙が訪れる。
その間もエビオは何故か病院前を走りまわっている。
黙っていてもうるさいのはもはや才能ではないか。
いや、声がデカいわけではないけれど。

しばらくして、エビオが思い出したのように、あ！と声をあげた。

「あの、ギャングの方手伝ってた時にちょっと小耳に挟んだんだけど」

何事もないようにサラッとギャングの片棒を担いだ発言をするエビオ。
楽しいよ〜。と度々話を聞かせてくれるのはこちらとしても面白いのでありがたいのだが、普通に犯罪だ。

「ごっふぁみの方が今度人質をとって高額請求するらしくてさー」

つい最近小規模な拉致事件があったが、うまく行っていなかったはずだ。
それでも懲りていないらしい。

「それは俺等じゃなくて警察に言うべきじゃね？」

思わずそう言うと、エビオは笑顔で首を横に振った。

「知った経緯話したら俺が捕まるって！」

確かに〜！
思わず2人で笑った。
ひなーのがくだらないという目でこちらを見ている。お前もツボ浅いだろって。

「え、ねぇエビオ、その人質って誰の予定なの？」

ひなーのがベンチから起き上がって聞く。
確かにその点は重要だ。
それがわかれば俺から警察に横流しすることも可能ではあるから。

「さぁ？それは聞いてないな」

でも警察関係者じゃない？と言う。
それはそうだろう。身代金を用意せざるを得ないような重要人物でないとこの拉致事件は成立しない。


警察と話す機会があったら一応言っておこう。
備えあれば憂いなしとも言うし。

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