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「ところで君たちは状況がわかっていらっしゃる?」
バックミラーをちらりと見ながらぐちつぼは強めに言った。
後ろを見ると、なかなかにゴツい車に男が2人乗っている。
流石に顔は見えないが明らかに一般人の様相ではない。
ぐちつぼはカーナビを確認しつつ、このルート行けばいいんだよな?とAに問いかけた。
その問いにAは首を横に振る。
「いや、最短ルートだと彼奴等に目的地がバレて先回りされるから駄目だ。あ、そこ右な」
急に言われてぐちつぼはハンドルを全開できった。
本来一般車から出てはならないようなスリップ音が聞こえながらも車体はバランスを取り戻し走行していく。
ずっと信号と速度制限を守ってきたぐちつぼだったが、背に腹は代えられないということで初めて信号と速度無視を行った。
良心で胃に穴が空きそうだ。と呟くとAは笑っていたが。
しばらく右往左往したあと直線道路に出ると、ずっと身を乗り出してぐちつぼを指示していたAはやっと後部座席に深く座った。
質問するなら今しか無いと思い、バックミラー越しにAを見る。
「Aはなんであの人等に追いかけられてんの?」
それを聞いたところで今の状況が変わるわけでも無いし、今更Aを車から落とすことも勿論しないが、単純に気になることだった。
「あ〜、俺が変なやつだからだな。俺がロス市民になにかしらの危害を加える可能性があるから彼奴等は俺を排除しようとしてんだ。
だけどまぁ、彼奴等はこのロスサントスを警察とは別の意味で守ってるといっても過言ではないから。悪者ってわけじゃあないんだよ」
自分を殺そうとする奴らを擁護するようなことを言うなんてやはり変な奴だ。
というか市民に危害を加えるなんざ、ギャングならどこでもやってる。ギャングってそういうものだけど。
しかしパシフィックの騒動では、ギャングもまた全員無傷だったと聞く。
危害のレベルが違うということだろうか。
やはり、少しズレた回答を故意にするようにしてるなコイツ。
「あ、嘘じゃないぞ。ガチで優しいやつもいるんだからな」
今あっちの車運転してる奴とか。とAは後ろを顎で指す。
「はいはい悪い奴らじゃないけどお前のことは殺したい集団なのね〜」
はは!そういうことだ!と満面の笑み。
こうも真っ直ぐな笑顔を向けられまくるのはこの街に来てから非常に少なくなったために少し戸惑う。
「お、もうすぐ目的地じゃないか?ちょっと速度落としてくれぐちつぼ」
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わらび(プロフ) - じゃーん、えっちふんさん» コメントありがとうございます!コメ主さんの言葉選びがとても素敵でこちらが感動してしまいました。自分の目指す雰囲気とキャラクター像が伝わっていて非常に嬉しく思います。少しずつの更新にはなりますが、楽しみにしていただけたら幸いです。 (8月7日 1時) (レス) @page34 id: ac8a81db8b (このIDを非表示/違反報告)
じゃーん、えっちふん(プロフ) - 薄暗い憂いを帯びてる雰囲気と男主くんのあっけらかんとした感じがちょうどいいバランスで沼で最高です😭自分のペースで更新頑張ってください!! (8月7日 0時) (レス) @page34 id: 1b7c50ba33 (このIDを非表示/違反報告)
わらび(プロフ) - 管理人さん» コメント本当に嬉しいです!ありがとうございます。一回の更新が少なく満足感が無いかもしれませんが、ぜひ今後も毎日の楽しみにしていただけたら幸いです。 (8月6日 12時) (レス) id: ac8a81db8b (このIDを非表示/違反報告)
管理人(プロフ) - コメ失礼しますm(_ _)m貴方様のrd医院長が本当に好きです!毎回更新されるのが楽しみで仕方ないです!これからも更新楽しみにしてます!頑張ってください!! (8月6日 3時) (レス) id: af5b844ff4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しまなか | 作成日時:2023年7月28日 20時