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「腹減ったから俺のコンビニ寄ろうぜ」
最近難しいことを考えすぎな気がする。
慣れないこの空気に耐えられなくなって、いつものテンションでそう告げた。
Aはお、いいな。と早速車に乗り込み、ぐちつぼは俺の車なんだけどなぁ!?と半笑いでキレている。
なんとなく海を振り返ってから車に乗ろうとすると。
「なんか、浮かんできた…?」
何やら海面に乗り物が浮かんできている。
沈んだ車が浮上してきている。というよりは水乗車か何かが浮かんできているという様子。
水陸両用車なんてこの街に売っているのか。
一度見てみたい。という思いで車から離れようとすると、気になったのかAが窓から顔を出した。
「ん?どうしたらっだぁ。なにか………………」
半分ほど顔を出した水陸両用車を見て、目を細める。そしてらっだぁに叫んだ。
「早く乗れらっだぁ!あれが俺の追手だ!」
叫ばれて驚きながらも助手席に急いで転がり込む。
ぐちつぼはそれを確認すると間髪入れずにUターンして発進した。
「なぁ、これって逃げられる!?」
「俺の言う通りにすればワンチャン!」
叫ぶぐちつぼに笑うA。
Aはカーナビの目的地にピンを刺すと、ぐちつぼとらっだぁの肩を両手で叩いた。
「君等に危害が加わることはない。パシフィックの時と同じように記憶が飛んだ後、俺の姿が無くなるかもしれないが、その時は俺のことは忘れてくれ!」
屈託のない笑顔でそう告げたAに苛立ちを少し覚える。
それ則ち、Aは無事ではすまないということだ。
「Aは捕まったら死ぬとか?」
「あぁ死ぬさ!いや、死という概念としてカウントされるかはわからんけどな」
またよくわからないことを言う。
だが、死ぬというのなら医者としてみすみす許してはならない。
医者としてでなくとも、個人としてなんとなくコイツは1人で死なせてはならないと思った。
「幸せを求めてるなら、Aが幸せだと心から思うまで死ぬなよな。それまでは俺がなんとか助けられるようにするから」
なんだか気恥ずかしくなって、いやまぁ俺は医者だから。と付け足してしまったが、Aは笑った。多分過去一笑った。
ぐちつぼも口笛を鳴らし、かっこい〜!と言っている。
「いや!人生で初めての友人にこんな事言われるなんて、俺今幸せだ!!!」
「じゃあ駄目じゃん死ねちゃうって」
「…俺は世界一幸せな男になってから寿命で死ぬ!よし、約束しようぜらっだぁ」
年甲斐もなく、小指を絡めた。
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わらび(プロフ) - じゃーん、えっちふんさん» コメントありがとうございます!コメ主さんの言葉選びがとても素敵でこちらが感動してしまいました。自分の目指す雰囲気とキャラクター像が伝わっていて非常に嬉しく思います。少しずつの更新にはなりますが、楽しみにしていただけたら幸いです。 (8月7日 1時) (レス) @page34 id: ac8a81db8b (このIDを非表示/違反報告)
じゃーん、えっちふん(プロフ) - 薄暗い憂いを帯びてる雰囲気と男主くんのあっけらかんとした感じがちょうどいいバランスで沼で最高です😭自分のペースで更新頑張ってください!! (8月7日 0時) (レス) @page34 id: 1b7c50ba33 (このIDを非表示/違反報告)
わらび(プロフ) - 管理人さん» コメント本当に嬉しいです!ありがとうございます。一回の更新が少なく満足感が無いかもしれませんが、ぜひ今後も毎日の楽しみにしていただけたら幸いです。 (8月6日 12時) (レス) id: ac8a81db8b (このIDを非表示/違反報告)
管理人(プロフ) - コメ失礼しますm(_ _)m貴方様のrd医院長が本当に好きです!毎回更新されるのが楽しみで仕方ないです!これからも更新楽しみにしてます!頑張ってください!! (8月6日 3時) (レス) id: af5b844ff4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しまなか | 作成日時:2023年7月28日 20時