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俺、あそこの空の金庫に寝泊まりしててな。

Aの話はそんな言葉から始まった。

海がすぐ下にある堤防で、彼は柵に体重をかけてこちらを見る。
ぐちつぼの車のボンネットに座り込むと、ぐちつぼはなにか言いたげな顔をしたが仕方なくAの方を見やる。

移動中に俺の把握している騒動の詳細を伝えたが、ぐちつぼは結局よくわかんねぇじゃねぇか!と叫んでいた。
その間Aは窓の外を無言で見ていたが。

閑話休題。

Aは笑って俺を見る。

「らっだぁも不運だよな。あの日に限って俺はずっとパシフィックにいた」

それは、先の爆発はAが行ったということか。
そう聞く前にAは否。と首を振った。

「あの爆発は俺がやったわけじゃない。勿論記憶喪失の件もな」
「俺はとある集団に追われてるんだ。パシフィックの騒動は、それに君らが運悪く居合わせちまっただけ」

その証拠に、君たちは誰一人負傷していない。
Aは俺にまたゆっくり視線をむけると、俺の胸元を指さした。

「らっだぁ、お前を撃ったのは自己防衛だ。お前に足止めされて彼奴等に捕まったら俺の人生パーだからな」

そこでAは手を広げる。
そして、それだけです。と言わんばかりに手をはたいて柵から離れ車へ歩き始めた。

「いやちょっと待って?俺はそんなヤバい奴を連れて数日間走り回ってたってワケ!?」

あぁ!とAは笑顔で頷く。
ぐちつぼがまたげんなりした顔になる。
随分と苦労してるな。

Aが謎の集団に追われていて、先の爆発はその集団が起こしたことはわかった。
そしてその集団が俺たちに危害を加える気がないことも。
だがしかし、他人の記憶を操ることが出来るような集団になぜお前は追われている?

「A。お前はなんなんだよ」

今しがた車のドアを開けた背中に話しかける。
Aは一瞬硬直すると、俺の方を振り返り自身の帽子のつばを触った。
彼にしては珍しく2,3秒黙り込んだあと、やっぱりいつものように笑って言った。

「俺はA。それ以上でもそれ以下でもない。
ただの、幸せになろうと足掻く一般人だ」

けれど何故か俺には、その笑顔があの日屋上で見た笑顔と同じように見えた。

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わらび(プロフ) - じゃーん、えっちふんさん» コメントありがとうございます!コメ主さんの言葉選びがとても素敵でこちらが感動してしまいました。自分の目指す雰囲気とキャラクター像が伝わっていて非常に嬉しく思います。少しずつの更新にはなりますが、楽しみにしていただけたら幸いです。 (8月7日 1時) (レス) @page34 id: ac8a81db8b (このIDを非表示/違反報告)
じゃーん、えっちふん(プロフ) - 薄暗い憂いを帯びてる雰囲気と男主くんのあっけらかんとした感じがちょうどいいバランスで沼で最高です😭自分のペースで更新頑張ってください!! (8月7日 0時) (レス) @page34 id: 1b7c50ba33 (このIDを非表示/違反報告)
わらび(プロフ) - 管理人さん» コメント本当に嬉しいです!ありがとうございます。一回の更新が少なく満足感が無いかもしれませんが、ぜひ今後も毎日の楽しみにしていただけたら幸いです。 (8月6日 12時) (レス) id: ac8a81db8b (このIDを非表示/違反報告)
管理人(プロフ) - コメ失礼しますm(_ _)m貴方様のrd医院長が本当に好きです!毎回更新されるのが楽しみで仕方ないです!これからも更新楽しみにしてます!頑張ってください!! (8月6日 3時) (レス) id: af5b844ff4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しまなか | 作成日時:2023年7月28日 20時

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