【VCRGTA】俺とお前と、【rd】

1 ページ3

暇だ。
男は暇であった。
この街の救急隊というのは、業務の多さにいささか緩急がありすぎる。
死ぬほど負傷者が出ているのにワンオペだったり、出勤している救急隊が多いにも関わらず全く負傷者が出なかったり。

現在は、出勤している救急隊はぼちぼちかつ負傷者は20分に1人程度。
病院にいる院長が向かうまでもなく、優秀な救急隊員によって即座に対処されていく。

それ則ち暇。暇であった。
業務が無いことは今までも何回かあったが、その度病院前で他の救急隊員とじゃれ合っていた。
しかしながら今日は病院前に人影など無いのだ。男を除いて。

今日出勤している救急隊員のほとんどが犯罪の片棒を担いでる面子故に副業でもしているのだろうか。全くはた迷惑なことだ。

「え〜、服は新調したばっかだし」

出かけるにしてもつい昨日服は新調したばかりだし、車などを買うのは少し金がかかりすぎる。
金がない訳ではもちろん無いが、2億貯めてみたいという願望がある。
釈迦さんが買ってた車、格好良すぎる。

「……寝るか」

やることがやはりない。暇だ。
ならば誰かが病院に帰ってくるまでベンチで寝ていよう。

もはや院長の定位置と化した病院前のベンチに横になる。仮眠を取る際もほとんどここだ。
家に帰って寝ることもほんの時々あるが、正直寝なくても支障はあまり無いので基本仮眠しか取らない。

「平日の昼間っから何寝てんだろ俺」

そう男は呟いて、お面を顔に乗せるとすぐに眠りについた。

＠→←＠

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す