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何やら騒がしい中、らっだぁは目を覚ました。
ぼやけた意識の中、何やらまくしたてる声が聞こえる。
「で?結局何が目的だったの?」
「さっきから100%善意の行動だって言ってるだろー?」
薄っすらと開けた瞳の先に二人の人影。
何やら焦っているAと、Aをまくしたてるさささん。
さささん
さささん!?
「どっ、え?どういうこと!?」
どうやらベンチに横たわっていたようで、起きた拍子にベンチから崩れ落ちる。
どしゃっと変な体制で床へ落ちたらっだぁを当の二人は見つめた。
一秒ほどの沈黙の後、大丈夫ですか?とささは少し笑って近づき、Aは何故か拘束されている両手をこちらに見せて首を振った。
俺には何も出来ないという意味だろうか。わからん。
というか何故Aの両手が拘束されているのかがわからない。
一応自分の手も確認するが、当たり前のようにそこにいつもと変わった点はなかった。
「すんません大丈夫す。それより、さささん。これどういう状況ですか?」
立ち上がって改めて周りを見るが、あきらかにここは警察署内だ。
署内に犯罪者の治療をしに来ることもあるので、何回かこの部屋にも入った事がある。
俺は檻の外のベンチの横にしてもらっていたようだが、Aは両手を拘束され檻の中に入れられている。
当の本人はエーン!とよくわからない泣き声を発している。
「あぁ、この…Aさんには今誘拐の容疑がかかっててですね」
らっだぁさんが起きたら確認しようと思っていたんですよ。と告げられる。
なるほどよくわからない。
Aが誘拐をしたとして、なぜ自分に関係があるのだろうか。
というか俺はコンビニ前で居眠りしていたはずなんですけど。
「だから!俺はらっだぁが安全な場所で寝られるように病院へ運ぼうとしただけだと言ってるだろう!」
檻の中で声を張り上げるA。
なるほどそういうことか。元々善意なのだろうが随分と面倒くさいことをしてくれた。
確かに、白医者である俺を運ぼうとしている見知らぬ男なぞ怪しい他無い。が、Aが言っているのは多分本当のことなんだろう。
Aが俺を攫って得するとも考えづらい。
先程のAの発言に返そうとしたさささんを止めて話す。
「Aの言ってること本当です。…それに、そいつ俺の友人ですし」
さささんは何かいいたげな表情をしたが、本人が言うならとAを釈放した。
釈放されたAはげんなりとしていて、こんな顔はなかなか見れない気がした。
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わらび(プロフ) - じゃーん、えっちふんさん» コメントありがとうございます!コメ主さんの言葉選びがとても素敵でこちらが感動してしまいました。自分の目指す雰囲気とキャラクター像が伝わっていて非常に嬉しく思います。少しずつの更新にはなりますが、楽しみにしていただけたら幸いです。 (8月7日 1時) (レス) @page34 id: ac8a81db8b (このIDを非表示/違反報告)
じゃーん、えっちふん(プロフ) - 薄暗い憂いを帯びてる雰囲気と男主くんのあっけらかんとした感じがちょうどいいバランスで沼で最高です😭自分のペースで更新頑張ってください!! (8月7日 0時) (レス) @page34 id: 1b7c50ba33 (このIDを非表示/違反報告)
わらび(プロフ) - 管理人さん» コメント本当に嬉しいです!ありがとうございます。一回の更新が少なく満足感が無いかもしれませんが、ぜひ今後も毎日の楽しみにしていただけたら幸いです。 (8月6日 12時) (レス) id: ac8a81db8b (このIDを非表示/違反報告)
管理人(プロフ) - コメ失礼しますm(_ _)m貴方様のrd医院長が本当に好きです!毎回更新されるのが楽しみで仕方ないです!これからも更新楽しみにしてます!頑張ってください!! (8月6日 3時) (レス) id: af5b844ff4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しまなか | 作成日時:2023年7月28日 20時