【VCRGTA】俺とお前と、【rd】

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出ていったAを追いかけ、走ってその背中をどつく。
Aは変な声をあげるとノールックで拳をこちらに振るってきた。

「ちょ、痛い痛い痛いごめんって」

少し笑い混じりに謝ると、Aは「びっっくりした…」らっだぁか。とこちらをやっと振り返った。

「ロスサントスは治安が悪いって聞いてたから護身はちょっとかじったんだ」

「あーうん。治安最悪だからその考えはあってると思うわ」

で？とこちらが要件を言うのを待つA。
そういえばコイツ、良さそうなシャツにキャップだけど金どこからでてるんだ。
先程はコイツ無職だろ。と思ったが、案外そうでもないのか？
まぁいい。今の時間帯にこんな場所でスケボー探しをしているような暇人なことに変わりはないのだから。

「A。俺のコンビニでバイトしよーぜ」

「いや俺、バイトとかやったことないぞ」

面白そうではあるが、イライラして迷惑客にカラーボールぶつけまくっちまう所までは想像出来た。
とAは勝手に遠い目をした。
しかし次の瞬間には、それもそれで最高じゃ…と呟いている。
何やろうとしてるんだ？お前は。

「在庫補充だけだから大丈夫。トラック運転するだけだから」

「運転？それなら楽勝だな」

その言葉を聞いて少し不安になった。
この男が楽勝と言うと楽勝なわけが無さそうだからだ。事故の一つでも起こしてきそうである。
が、まぁ仕方ない。トラック1台くらいお釈迦になっても目をつぶろう。

「じゃあここからバイトのを取ってもらって」

「ここか。おぉ」

バイト募集の用紙をAが受け取ると、Aの端末上のマップにマークが付いた。
稀に見る遠さだ。この男は尽く神に嫌われているらしい。

「ここでダンボールを受け取って、また戻ってくるだけ」

「OK。了解」

Aはキャップを被り直すとトラックの運転席に乗り、窓越しにこちらに笑いかけ手を振った。
反射的に手を振り返すと、Aは満足したようでクラクションを一回鳴らして去っていった。

「こう見ると、やっぱり平和な一般市民にしか見えないよな」

いや、実際そうなのかもしれないが。
Aとあったのは一昨日だし、俺はこの男の名前以外を本当に知らない。
あちらから見ても同じではあると思うのだが。

「それにしては仲良くしようとしてくれてる…気がする？」

実際の所はよくわからない。
が、らっだぁはAが嫌いではなかった。

「さて、帰ってくるまでに近くの負傷者をパパっと治してくるか〜」

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