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相川と初めて手を繋いだのは、あのときだ。
うーん……しかしどうしたものか。自転車の二人乗りを月崎が辞したのは、その辺りのことを考えてというのもあるのだろうし、考えてみれば私にしたって、相川における浮気の基準の厳しさは、昨日この身をもって教えてもらったところだからな……。
「おい、月崎後輩」
「なんや、阿良々木先輩」
「右手を前に伸ばせ」
「こうか？」
「よし。合体だ」
その手の先をつまむようにして引っ張って、そのまま私の制服のはしを握らせた。
「こっから階段だから。つまずかないようにね。ゆっくり昇るからさ、気をつけて」
「…………」
いくらなんでもこのくらいの物理的接触ならば、相川規格でも浮気にならないだろうという、名案だった。我ながら、滅茶苦茶詭弁臭かったが、これで相川に対しては、とりあえずの言い訳が立つ。
「優しいんやな、阿良々木先輩は」
月崎は、まるで制服の強度を確認でもするかのように、ぎゅっと握って引っ張るようにしながら、そう言った。
「よく言われへんか？ 優しくてええ人やと」
「そんな無個性を取り繕うみたいな言葉、よく言われたくないよ」
「暗がりの案内一つに至るまで、俺や相川先輩との関係に気ぃつこうてもらえるなど、心底有難いばかりや。心遣い痛み入る、憎い計らいとはこのことや」
「……思惑はバレバレなのか」
鋭いなあ。
普通、わからないだろ、そんなの。
ていうか、わかったならわかったで、わざわざ言うなよ、そんなこと……滅茶苦茶決まりが悪いじゃないか。茶化した風を装った分だけ、かなりいたたまれない。
「阿良々木先輩。一つ、訊きたいんやが」
「なんだよ。受け攻めの話以外なら、なんでも訊いてもらって構わないぞ」
「ああ、受け攻めの話は後回しだ」
「受け攻めの話もあるのかよ！」
「あとはパンツの話と露出狂の話がある」
「蒸し返すな！」
「正直、エ ッチな話以外はしとうない」
「そんなキャラが存在してたまるか！ 訊きたいことをさっさと訊け！」
「今までの話の感触からすると……どうも阿良々木先輩は、相川先輩に、俺のことを全く話しとらんみたいなんやが」
「はあ？ いや、話してるよ。それで、お前と相川が、川崎コンビだったことを、私は知ったんだから」
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灰猫(プロフ) - 梅茶漬けさん» 梅茶漬けさんコメントありがとうございます！ずっと更新していなかったにも関わらずお気に入り登録を外さずにいてくださりありがとうございます！ちまちまですが頑張って化だけでも完結まで持って行きたいと思います！ (2021年8月3日 19時) (
レス) id: 75a262f2fa (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - れいさん» れいさんコメントありがとうございます！一年以上更新してなかったこの作品を発掘してくださっただけでもありがたいのにそんなありがたいお言葉まで……こちらこそ読んで頂きありがとうございます！ (2021年8月3日 19時) (レス) id: 75a262f2fa (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - RONONさん» RONONさん、コメントありがとうございます！たくさん好きと言って頂けて嬉しいです！！ (2021年8月3日 19時) (レス) id: 75a262f2fa (このIDを非表示/違反報告)
梅茶漬け(プロフ) - 更新ありがとうございます！！とても素敵な作品だったので通知が来た時はとても嬉しかったです…！これからも無理せず灰猫様のペースで頑張ってください、応援しています！ (2021年8月3日 2時) (レス) id: 38bd223230 (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - 一気見しました。すごい好きです！作ってくれてありがとうございます←いきなり (2021年6月27日 12時) (レス) id: 1e82b4fb9d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灰猫 | 作成日時：2020年6月8日 1時
