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ともあれ。
考えごとといっても、教える立場の相川から平均点を取ることすら諦められてしまうような私のこと、あまり考えごとが生産的な意味を持つわけではない。ほとんど自己満足みたいなものだ。しかし、世の中には自己満足で終わっていいことと、そうではないことがあり、この場合は後者だった。
で。
右手で自転車を押したまま、歩きながら、天宮の携帯電話に、私は電話をかけたというわけだ。時間は夜の八時半＿＿それほど親しくない間柄の男子に電話をかけるのに、相応しい時間なのかどうかは、どうだろう、私にはよくわからないのだけれど、天宮の反応から見る限り、とりあえず許容範囲ではあるようだ。真面目の化身のような、人一倍モラルに厳しい天宮なら、駄目なときは駄目だと、ちゃんと言ってくれるはずである。
「えっと。ちょっとばかし長い話になるかもしれないんだけど、天宮、時間、いい？」
「ん？ いいよ？ 軽く勉強してただけだから」
「…………」
嫌味なくらいさらっと、そんなことを言えてしまう辺り、神様に選ばれた委員長の中の委員長だ。
軽くって、どういう勉強のことなんだろう……？
「まあ、じゃあ、できるだけ手短に……天宮、相川と同じ中学だったよね？ なんだっけ、確か＿＿そうそう、公立清風中学だっけか」
「うん、そうだよ」
「じゃあ、一個下の後輩で、月崎志麻って奴、知ってるでしょ？」
「そりゃ、勿論、知ってるけど？ ていうか、月崎くんのことを知らない人なんて、いるかな？ バスケットボール部のキャプテン、学校中のスター。僕だって、友達と一緒に、試合の応援に行ったことあるくらいだし」
「いや、だから今現在の話じゃなくて＿＿月崎の中学時代の話が聞きたいんだけれど」
「んん？ そうなの？ なんで？」
「なんでも」
「ふうん……いや、でも、中学時代も、今とそんなに変わらないよ。バスケットボール部のエースで、大活躍。二年生の後半からは、今と同じようにキャプテンを務めていたみたいだし。それがどうかしたの？」
「いや、えっと＿＿」
話せないよなあ。
言えないよなあ。
信じないよなあ。
よりにもよってそのスターが、こともあろうにこの私を、言うにこと欠いてストーキングしているだなんて。
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灰猫(プロフ) - 梅茶漬けさん» 梅茶漬けさんコメントありがとうございます！ずっと更新していなかったにも関わらずお気に入り登録を外さずにいてくださりありがとうございます！ちまちまですが頑張って化だけでも完結まで持って行きたいと思います！ (2021年8月3日 19時) (
レス) id: 75a262f2fa (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - れいさん» れいさんコメントありがとうございます！一年以上更新してなかったこの作品を発掘してくださっただけでもありがたいのにそんなありがたいお言葉まで……こちらこそ読んで頂きありがとうございます！ (2021年8月3日 19時) (レス) id: 75a262f2fa (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - RONONさん» RONONさん、コメントありがとうございます！たくさん好きと言って頂けて嬉しいです！！ (2021年8月3日 19時) (レス) id: 75a262f2fa (このIDを非表示/違反報告)
梅茶漬け(プロフ) - 更新ありがとうございます！！とても素敵な作品だったので通知が来た時はとても嬉しかったです…！これからも無理せず灰猫様のペースで頑張ってください、応援しています！ (2021年8月3日 2時) (レス) id: 38bd223230 (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - 一気見しました。すごい好きです！作ってくれてありがとうございます←いきなり (2021年6月27日 12時) (レス) id: 1e82b4fb9d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灰猫 | 作成日時：2020年6月8日 1時
